2019年秋にアメリカで開かれるIAYT(インターナショナル・ヨガセラピー協会/当協会は日本で唯一のメンバースクールです。)ヨガセラピーのシンポジウムの基調講演者エリサ・ハルミ・コザサ博士のリサーチです。博士はブラジルで長年ヨガ、太極拳、瞑想などの生理心理学の研究に携わっています。また神経科学と行動学の研究者でもあります。

ヨガ・グループは前頭前野領域が著しく大きかった

8年間一週間に2度、ハタヨガをしている60歳以上の21人の女性と、ヨガや瞑想や呼吸などの経験はないが、最初のグループと同等の教育レベルで同等に他の運動をしている21人の女性の脳のCT画像を較べたところ、最初のグループの左の前頭前野の方が、著しく大きかった。

左がヨガをしている人の画像

老化は前頭前野から

前頭前野は人で最もよく発達した脳部位であるとともに,最も遅く成熟する脳部位です。 一方、老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもあります。 この脳部位は気づき、集中、記憶、行動の切り替え、推論などの認知・実行機能を担っています。

体と心を呼吸で結びつけるヨガ

ヨガは、典型的な身体に限った運動と違って、瞑想的な特性があります。このような「心と体」を使うエクササイズは、脳の機能と形態に肯定的な変化をもたらすと考えられます。

ストレス軽減、認知&記憶能力も上昇

またGothe, N.P., Kramer, A.F. & McAuleyの行った108人の平均62.02才の人たちを対象にした認知機能に対するヨガの効果に関する研究では、1時間のヨガのポーズ、呼吸、瞑想を含むハタヨガを週に3回、8週間続けたグループと同期間同頻度同程度の負荷のストレッチをしたグループの比較において、ヨガ・グループはストレッチ・グループに比べてストレスの軽減が見られるとともに認知能力も記憶能力も上昇していました。

高齢化社会に向けて期待されるヨガセラピー

現在、世界ではヨガと健康に関するリサーチが急ピッチで進んでいます。それとともに呼吸と瞑想とヨガ、すべてを統合し、すべての人々のニーズに合わせたヨガセラピーの需要は高まっています。


出典: Elisa Kozasa, Frontiers in Aging Neuroscience E. (2016). Greater Cortical Thickness in Elderly Female Yoga Practitioners—A Cross-Sectional Study

Gothe, N.P., Kramer, A.F. & McAuley, E. (2014). The effects of an 8-week Hatha Yoga intervention on executive function on older adults. Journals of Gerontology A Biol Sci Med Sci, 69(9), 1109-1116.

執筆:Yumiko M. Hoban