ハイランジで、ぐらつくという悩みを持っている人は多いのでは?今回はハイランジの安定のさせ方です。ちなみにランジは英語の”lunge”で、「~に向かって突っ込む」とう意味があります。フェンシングで相手を突く時の動作もランジです。
ハイランジは戦士のポーズ1とも形が似ていますが、ランジでは後足の踵を床につけません。戦士1では、骨盤にひねりが生じるため仙腸関節を傷めてしまう可能性があり、最近では戦士1の代わりにハイランジをした方がいいという指導も多くなっています。
戦士1のポーズ:無理に骨盤を正面に向けない
ただ戦士1は、後ろ足の踵が床についている分、安定はします。昔ながらの指示ですと、「左右の骨盤を正面に向けましょう。」という指示でしたが、前述のように、そうすると必然的に骨盤にひねりが生まれ、仙腸関節を傷めやすくなるため、「骨盤は無理に正面には向けない」という指示が支持されるようになってきています。
ハイランジを安定させるコツ
ハイランジでは後ろ足の拇指球(親指の付け根)をしっかりと床に踏み込みます。 拇指球を踏み込みながら、足の内側を伸ばすような意識を持ちます。 前足も拇指球に体重がかかるようにします。
それでも安定感が得られない場合には、後ろ足の踵の位置を確認してみてください。踵が外側や内側に倒れて傾いていませんか?
踵はつま先の同線上です。自分からは見えない場所なので、これは見落としがちな点です。この状態で拇指球を踏み込めば、自然に骨盤が前のマットと平行になります。この一点を注意するだけで、安定感が変わります。
戦士のポーズ1の場合は、上記の動作に加えて、床についている後ろ足の踵を外転する(踵を外側に押し出す)ようにしてみましょう(実際にかかとの位置は動かしません)。それによって、自然に後脚全体の内旋が生まれ安定します。前述したように、戦士1では骨盤を無理にマットに平行にする必要はありません。
骨盤を立てる
手を床から離して状態を起こし、尾骨を下げお腹を引き込み引き上げます。これによって、腰の反り過ぎを防ぎます。
ランジを動画で解説
ランジのポーズの解説で多数アップされている動画の中からシンプルでわかりやすく参考になる動画を選びました。
ランジ・ポーズのアライメント
まずは、ポーズの外形を解説。
①ウッタナーサナ(立ち居の前屈/uttanasana)両手の指先が床についてお辞儀をしている状態から、
②両膝を曲げ、両手の指先(finger tips)を両足の横、肩幅に床につけます。、
③息を吸いながら左足を一歩大きく後ろに引き、親指の付け根をしっかりと床につけます。前脚の膝は直角。
④息を吐きながら、左踵を後ろにしっかりと押し出しながら脚をまっすぐに伸ばします。
ありがちなランジ・ポーズのミス・アライメント/注意点
- 前脚の膝頭が足首より前に出ないようにしましょう。
- 前の膝とつま先が常に同じ方向を向いているようにしましょう。
- 左のお尻(後足側)が一緒に後に下がって低くなり、上から見ると左右のお尻が斜めになってしまいがちですが、お尻は水平にします。
脚の内旋と外旋
1.息を吸いながら、左(後)踵は強く後ろに押し続けたまま、左脚の太ももを天に向けて押し上げます。
2.息を吐きながら、後の踵はしっかりと後方に押しながら、右(前)脚の太ももを床に向かって下げます。
3.息を吸いながら、後の脚は踵から骨盤に向けて内旋して行きます。(鼠蹊部には窪みができ、お尻は開きます。)
4.息を吐きながら、尾骨をすくうように前脚の膝に向けて伸ばすと、前脚は骨盤から膝に向けて外旋していきます。
ポーズは幾層もの層の積み重ね
ポーズは層(layer)として積み重ねて行きます。つまり1をキープしたまま2の動きに移り、1.2をキープしたまま3へというようにです。
呼吸に合わせてゆっくりと一つずつ行ってみてください。経験を積んでいる内に、内面の気や筋肉の動きがより明瞭に意識できるようになります。
ローランジを安定させる
ローランジでは後ろの膝が床につきます。手を床から離すと、ハイランジよりも不安定になりがちです。まずハイランジをしてから膝を落としてみてください。あれっと思うほど安定感が得られます。それはハイランジでは両脚の筋肉が否応なくアクティブになりますが、その状態が膝を落としても保たれるからです。
コツ上級Only
脚の内旋と外旋が骨盤を広げます。たとえば右足を前に踏み出した場合では、左脚の内旋は足元から上がってきて仙骨(骨盤の後側)を広げます。これをキープしたまま、息を吐きながら、右(前)脚を外旋させることで、右側の骨盤が広がります。つまりヒップは前後に、そして両方向に広がります。これは小さい動きですが、とても意味深いものです。もし内旋をキープせずに外旋に移ったなら、この骨盤の広がりは起こりません。
まず、左右対称のポーズで練習してみてください。
また、一般にランジのように左右非対称のポーズの場合、後脚が内旋、前脚が外旋ですが(初心者の場合は、その理解で十分ですが)、後脚にも前脚にも内旋と外旋は混在します。ただ、後脚では内旋が強くなり、前脚では外旋が強くなるということです。
たとえば、上記のビデオで両手を床についた状態で、両足を引き寄せた時、お尻が上がり、両足に内旋が起こっています。それをキープしたまま、後足の拇指球を踏み込み、尾骨を前脚に向かって下げる意識を強く持つと、前脚の外旋がより強く起こります。
この両足の内旋と外旋の絶妙なバランスが、ポーズを整え、体の気のバランスを整え、心を整えます。ランジのポーズは、簡単に見えて、実は非常に難しく奥の深いポーズです。
村松ホーバン由美子:日本ヨガメディカル協会公認講師&WEB編集責任者
E-RYT500、C-IAYT(国際ヨガセラピスト協会認定セラピスト)、介護予防指導士、米国シニアヨガ指導士、ムーブメントセラピー指導者、ORIGINAL STRENGHTH認定プロフェッショナル、日英通訳翻訳。埼玉県在住。
【担当講座】「解剖学② ヨガセラピー✖筋膜」「ヨガ✖ポリヴェーガル理論✖自律神経」「様々なポーズの軽減法」