前屈アレンジ

私は中学生の頃に事故で腰を痛めてから、腰痛とは常に隣合わせで生きてきました。ヨガをしていて腰を痛めてしまった経験も複数回あります。ですので、人一倍、怪我をせずにヨガをすることに興味を持ち学んできました。

ヨガで一番怪我が多い体の部位は?

さて質問です。ヨガで一番怪我が多い体の部位はどこでしょう?

腰です。怪我の40%を占めます。原因のポーズは、なんでしょう?

前屈です。(詳しくは「ヨガで体を痛める原因と痛めやすい場所」参照)

それでは、立位の前屈のポーズ(Uttanasana)と座位の前屈のポーズ(Pschimottanasana)では、どちらが腰を痛めやすいでしょう?

座位です。それは、なぜでしょう?

座った姿勢の場合、お尻が床に固定されているため、腰椎が全ての屈曲ストレスを担ってしまうためです。ちなみに鏡の前に横向きに立って前屈してみてください。(パーフェクト・ワールドでは、脚が床に対して垂直になることですが、)脚が斜め後ろに傾くことで、お尻は腰椎へのストレスがマックスになる前に後ろ側に逃げてます。お尻が固定されていないので遊びがあるのです。

私も、少なくとも2度は座位の前屈で腰をやられています。本当に本当に気をつけてください。VINI Yogaという、セラピー的なヨガを提唱していたインドの非常に有名なヨガの先生T.K.V.Desikachar氏は、40~50を過ぎたら前パッシモタナーサナ(背中を伸ばすポーズ)はするべきではないと言っています(特に40~50過ぎからヨガを始める人にはおすすめでないという意味が含まれます)。

お尻ではなく腰が突き出てしまっている場合は、座位の場合は、お尻の下にブランケットを敷いて高くしましょう。脚裏が堅い場合には、ストラップやタオルを足裏に引っ掛けて、背中を伸ばしたまま腕で自分の方に向かって引っ張ります。立位の場合は膝を曲げましょう。

ハムストリング(もも裏)が硬いかチェック

105度まで上がる人は、かなり柔らかいので、座位の前屈は安全にできるでしょう。65度以下だった場合は、硬いので座位の前屈では、必ず腰が丸まり腰椎への負荷が高まります。膝を曲げて前屈しましょう。

アキレス腱や脚の裏やお尻も総動員

それでは、最近の私の朝のルーティーン・ポーズのひとつを紹介します。このポーズを取り入れるようになってから、腰痛がかなり改善しました。ただ、くれぐれも、いきなりやらないでくださいね。たとえばヨガベルト(タオルや男性用のゆかたの紐などでで代用可)を使っての仰向けの親指をつかむポーズ(Supta Padangusthasana)、猫と牛のポーズ、アーダ・ハヌマナサナ(Runner’s lunge)などで十分に準備してから、やってみてください。

壁に向き合うように立つ。ヨガブランケット、またはもう一枚のヨガマットを丸めて(ヨガマットの方が滑らないのでいいです)、足のつま先で踏んで脚裏全体を伸ばして行きます。最初は、直立から、そして緩んできたら、壁に手をついて腕立て伏せするようにして、アキレス腱から膝の後ろ、脚裏全体をゆるゆると伸ばして行ってください。

このエクササイズでは、腰部分の前屈をターゲットにしていません。あくまでも、腰以外の場所を緩めることにより腰への負担を減らしながら前屈を深めることを目指しています。上図のように前屈した時点で腰がお尻より高い場合には、膝を曲げてください。くれぐれも腰に負担がかからないように注意してください。

拇指球(親指の付け根の肉厚の部分/英語ではMound of Toeと言います。)で床をしっかりと押しましょう。膝の過伸展(Hyper-extension)をしてしまいがちな人は、膝を気持ち曲げる(micro-bend)ようにしてください

次に腰に手をあてて息を吐きながら上体は遠くに伸ばすようにしながら、お腹をしっかりと凹ませながら、腰からではなく股関節から前屈して行きます。大きなゴムボールが下腹部と太もも上部にあって、それを乗り越えて前屈していくような意識でやってみてください。実際に手で握りこぶしを作って股関節のくぼみにあてて上方に持ち上げるようにすることも有効です。

ヨガブロックに手を置いたり、(ブロックは縦置きにしたり横置きにしたり)

前屈頭の下にブロックを置いたり(下図)、手で遠くに歩いてダウンドッグの姿勢になったりして、ゆ~っくりと伸ばしてください。

さらに深める小技

拇指球を踏み込み、下腹を引き込み、坐骨を天井に向けて突き上げ、ふくらはぎを両手で強く押しながら、踵から膝裏までを引き上げるます。

しつこいですが、腰がお尻より高くなる場合は、無理して前屈せずに、ブロックではなく、いすの背に手を置いてもいいです。

前屈アレンジ起き上がる時は、膝を曲げて腰に手を当てて、背筋を伸ばしたまま、お腹の力も使って、ゆっくりと腰に自然なSカーブができるまで起き上がり、腰のカーブを保ったまま息を吸いながら起き上がりましょう。

このポーズの後に、ダウンドッグからウッタナサナ(立位の前屈)へのジャンプをすると、驚くほど、しなやかに静かに着地することができます。

ボーナス・ポーズ

  1. 壁に向き合って上半身を90度曲げても頭がぶつからない位の位置に立ちます。
  2. 腰に手をあてて腰を丸めないように、(丸まるようなら膝を曲げて)前屈します。
  3. 壁に近づき背中全体を壁につけます。
  4. 手は肘をつかんで頭上でもいいですし、床につけてもOK。頭の下の上記のようにブロックを置いてもいいです。背中から癒される感じがします。

前屈を深める中級TIP(コツ)

腰に負担をかけずに前屈ができることを既に習得している方に試していただきたいコツです。

  1. 脚が床に対して直角になっているかを鏡に映さずチェックするには、ヨガブロックを下肢の真横に縦に二個積んでおけば簡単にチェックできます。もし脚が斜めになりがちな場合(大抵、お尻が引けるので足は後ろに斜めになりがち。)親指でしっかりと床を押します
  2. 立位の前屈の場合、床についた手を前方(体から遠ざける方向)に押します。
  3. 立位の前屈で、膝を軽く曲げ、ふくらはぎの後ろを手の平で、かなりしっかりと押し、ふくらはぎは手のひらを押し返すことを意識しながら、膝をゆっくりと伸ばして行きます。