チャトランガ

正しいチャトランガは初心者でなくても、難しいポーズと言われています。肩の故障につながりやすいポーズだとも言われています。肩シュレッダーとさえ言われています。

とてもわかりやすい動画を見つけたので、紹介します。

ステップ1 External Rotaion of the Upper Arm Bone.
2:20 上腕の外旋
2:57 ありがちNG:肘が外側に流れてしまう。肘が体側から離れてしまうと上腕は内旋してしまう。

ステップ2 Depression of Your Scapura.
3:17 肩甲骨を下げる
3:30 ありがちNG:肩が前に出てしまう(肩の前傾)。
3:44 肩を後ろに回し肩甲骨を(腰方向に)下げる。これにより肩周りが安定する

ステップ3 Protraction of Your Scapura.
4:00 左右の肩甲骨を離す

補足1: 反対の筋肉を使う

1分目のあたりで彼が言っている”Balancing Action”が、ステップ3に生かされます。Muscle engagement that opposes the structural alignment、つまり簡単に言うと「ポーズへと動いていくのとは反対のことをする筋肉を使う。」ということです。

簡単な例として、椅子のポーズは両膝を椅子に座るように曲げてキープしますが、膝が曲がり切って尻もちをついてしまわないのは、膝を曲げるのとは反対の膝を伸ばそうとする筋肉(四頭筋/太ももの前側の筋肉)を使っているからです。(ゆっくりと膝を曲げて行くとわかりやすいです。)

この原理でプランク(板)のポーズから、肘を少しだけ曲げた状態で、一旦動きを止めます。仮に、このまま肘を曲げ続けると、左右の肩甲骨の間はどんどん狭まります。

そこで一旦、反対に腕をまっすぐに延ばす気持ちで(気持ちだけ)両手で床をしっかりと押し左右肩甲骨の間を広げます。すると肩周りも安定します。

前鋸筋

この時に使っているのが前鋸筋(ぜんきょきん)という肋骨脇から肩甲骨にくっついている鳥の羽のような形状の筋肉です。ノコギリの歯のようにも見えるので前鋸筋という名前がついています。この筋肉は肩甲骨の内側の縁に沿ってぴったりとくっついており、その役割は、正に、左右の肩甲骨を開き安定させることにあります。この状態を保ったまま、さらに肘を曲げて行きます。

「反対の筋肉を使う」についてですが、先日ロボット工学の権威の森政弘先生が、ある対談の中でロボットを作る際の人間の筋肉の研究の中で、「歩くという動作も転ぶという動作に抗することで可能になる。」というようなことをおっしゃっていました。

補足2:腹筋も大切

プランクからチャトランガまでの一連の動作で、腹筋を締めておくことも、とても重要です。肋骨とみぞおちを床から遠ざけるように意識すると腹筋が働きます。

教科書どおりですとチャトランガは90度に肘を曲げて行きますが、肘を90度まで曲げるとどうしても、肩が落ちてしまいがちになります(床に向かって傾斜する)。無理してすることはないです。肩が少しでも床の方に落ちてしまうようであれば、肩の故障につながるので(肩峰下インピンジメント症候群)、そこでやめてコブラなり上向きのドッグのポーズに移りましょう。

鏡でチェック

自分では気づいていなくても鏡を使って正面、真横からチェックしてみると肩が落ちているか否かがわかります。

チャトランガの肘について検証

肘を90度に曲げるべき?

私は学生時代、カヌー部にいて鍛えた腕力を結構維持していて90度に曲げることも腕立て伏せもお茶の子さいさいでしたが、結局は、それがアライメントの軽視となり肩の故障につながりました。90度まで得に肘を体側にぴったりくっつけたまま曲げると、よっぽど肩周りの筋肉の発達しているウェイトリフターでない限り肩の前傾が起こります。

下の画像は、GoogleでChaturangaで検索した最初の画面のスクリーンショットです。ほとんどが肘をぴったりと体側につけて90度に曲げるデモンストレーションをしている写真ですが、よーく肩先を見てみると、全員に大なり小なりの前傾が見てとれます。

チャトランガ

ヨガではパーフェクト10を取る必要は全くないのですから90度に曲げたからナンボ?!の話です。無理はしませんように。

肘を体の脇にぴったりとくっつけるべき?

チャトランガで体の脇に肘を絞める動作に関しては、強く推奨されている動作ですが、くっつけすぎると、肩の前傾が置きます。(前傾が起きるとインピンジメント症候群や滑液包炎につながります。)

今回で紹介した動画をよーく見てみると、肘は手首の上に来るようにと言いつつも、実際には肘は体から結構離れています。

実証するために肘をくっつけてと、離しての両方を試してみましたが、離した方が既にローテーターカフの故障を抱えている腕に、痛みを感じることなく行うことができました。肘は体側から適度に離すようにしましょう。それは、人によって卵一つ分かもしれないし、二つ分かもしれません。

このブログで何度も書いていますが、昔から使われていたヨガのCUE(指示)が必ずしも正しくないということが現在わかってきています。現在、多くの有名なシニア・インストラクターが、間違ったCUEを繰り返すことによって起こってしまった、さまざまな体の故障についてカミングアウトしています。

チャトランガを立った姿勢でやってみる

壁チャトランガの動画

1:00 人差し指を真上に向け、上腕は床に平行。

ステップ1 1:15 肘をしめながら上腕を外旋
ステップ2 1:28 一時的に肩を上げてから、肩甲骨を下げる。
ステップ3 2:00 壁を押して左右の肩甲骨を離す。肩甲骨が体を包み込む意識で。

4:17 ここからは何度も、ステップ1から3までを繰り返しつつ、板のポーズからチャトランガに入って行くので、とてもわかりやすいと思います。

ゆっくりゆっくりと一つ一つの筋肉を感じ、確認しながらマインドフルにやってみてください。

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