椅子のポーズでヨガブロックを挟む効果

Q: バクスター先生に質問です。椅子のポーズ(ウトゥカターサナ)で膝を曲げた際に、左膝の内側に刺すような痛みがありました。膝を伸ばしてから膝の間にヨガブロックをはさんで、ポーズを繰り返したところ、痛みは無くなりました。両膝でブロックをギュッとはさんだことで、膝にはどのようなアライメントの変化があったのでしょう?

医師(MD)、国際ヨガセラピスト協会理事会役員、鍼灸師、E-RYT500、 C-IAYT
Yoga for Healthy Aging”共著者。全米でヨガセラピーのワークショップを開催。

椅子のポーズはパワフルポーズ

バクスター先生の答え】

ウトゥカターサナは「椅子のポーズ」と間違って呼ばれることがありますが、 ウトゥカターサナ はサンスクリット語から来ており、リチャード・ローゼンは、彼の著書「Original Yoga}の中で「通常を超えた、広大な、巨大な、豊富な、多才な、酔っ払った。怒り、激怒、超過した、超越した、高い、誇りに満ちた、傲慢な、不均等な、困難な」と定義をしています。このポーズは、キープしようとすると確実に困難を伴いますが、不均等な感覚を避ける努力を要するポーズです。(ですのでパワフル・ポーズと呼びたいです。)

膝関節の痛み

ヨガのポーズで関節に痛みを感じた時は、痛みがある関節だけに目を向けるのではなく、その上下両方の関節にも目を向けましょう。

質問者ご本人を見ることができないので、なぜ最初にポーズをした時に痛みが出たのかを断定することは難しいのですが、立って脚に負荷がかかる時や、膝関節を曲げる時は常に、膝関節が圧迫され痛みとなる可能性があります。

ですので関節にスペースをつくることが大切です。大腿骨(太ももの骨)を膝下の骨から吊り上げる感覚を持ってみて痛みを除くことができるかを試してみることが、常に最初の一歩です。

ヨガブロックを太ももの間にギュッとはさむことは、これから述べるように多くの効果がありますので、その内のいずれかが膝痛を緩和することにつながったのでしょう。

足のアライメント

ブロックを挟み込むことで、両足が近づき、体重がかかる位置が足の内側にシフトすることで、足のアライメントが正しく調整されたのかもしれません。ですので、もし足が膝の痛みの隠れた原因だったとしたら、ブロックをはさむことは足のアライメントの調整をしたことになります。

膝のアライメント

画像の出典:Bowlegs and Knock-knees in Children

内股の人の場合(膝が内側に倒れている)は、ブロックをはさむことで、膝を少し外側に向け、膝関節の外側にスペースができ、膝関節の内側は狭まります。

蟹股の場合(両膝が外を向いている))には、ブロックをはさむことで、両膝を寄せ、膝関節の内側にスペースができ、外側は狭まります。

筋肉の強弱

もし内腿の筋肉が弱い場合には、ブロックをギュッとはさむことで5つある内転筋がより収縮し、たとえば片足の大腿骨が湾曲していたり、たわんでいたとしても、両方の大腿骨の縦のアライメントを均等にします。

もしお尻の外側の筋肉が硬く、両脚が開きがちで股関節で大腿骨が外転しがちな場合、ブロックをギュッとはさむことで大腿骨が内転し、両脚を少し寄せることができます。その結果、膝関節のアライメントが改善します。

最後に、ブロックは、最も弱くなりがちな大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)の中の内側広筋を使います。それによって最も強い外側広筋(大腿骨を外側に広げ膝の部分で外転させがちになる)とのバランスがとれます。

あなたの膝の痛みが消えたこともしかりですが、両膝にブロックを挟むことによる効果は、まだまだあります。

バクスター先生のパワフル・パワフルポーズ

バクスター先生の処方箋ポーズ

もしブロックなしでウトゥカターサナをする度に痛みがあるようでしたら、しばらくの間、常にブロックを使うことをおすすめします。そしてブロックを使わない場合でも、ブロックの感覚を保ったまま、アライメントと筋肉を同じように使ってみてください。

このポーズはリチャード・ローゼンが彼の著書の中で最初に紹介しているポーズの一つです。本にはウトゥカターサナの他の効果についても触れられていますので、ヨガ愛好者は必読の書です。

椅子を利用したパワフル・ポーズ

原文: Friday Q&A: Alignment of the Knees 翻訳:Yumiko M. Hoban

Baxter Bell, MD, C-IAYT, ERYT500
【著書】 “Yoga for Healthy Aging: A Guide to Lifelong Well-Being”共著者。
【ブログ】 www.yogaforhealthyaging.blogspot.com 共同クリエーター
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