
― 「不調を抱えた生徒さんにも安心して届けられるヨガ」へ進みたいあなたへ ―
クラスを続けていると、こんな生徒さんが増えていないでしょうか。
- 腰痛・膝痛・肩こりなど、慢性的な痛みを抱えている方
- 高血圧・心臓病・がん経験・糖尿病など、病気や治療歴のある方
- 不眠・不安・うつ傾向・パニックなど、心の不調を抱えている方
- 何となく元気がなく、「とりあえずヨガならできるかも」と来られている方
クラスの前や後で、
「〇〇が痛いのですが、どうしたらいいでしょう?」
「お医者さんから運動しなさいと言われたんですが、何をしていいか分からなくて…」
そんな相談を受けたことはありませんか?
- 力にはなりたいけれども、何をどうしていいかわからない。
- ポーズを選ぶときに、安全かどうか不安を抱えながらクラスをしている
- シニアや不調がある方や運動経験のない方が増えてきて、指導の幅を広げたい
このページは、そんな 「一歩先の専門性を身につけたい」ヨガインストラクターやスタジオ指導者の方に向けた案内です。
※このページは、一般社団法人 日本ヨガメディカル協会が監修するヨガセラピー情報サイト「Yogatherapy(yogatherapy.co.jp)」内のご案内です。正式な講座情報・日程・お申し込みは、協会オフィシャルサイト(https://yoga-medical.org/)をご確認ください。
ヨガインストラクターからヨガセラピストへ
これまで協会で学ばれたヨガインストラクターの方々から、よく聞く声があります。
- 「RYT200では学びきれなかった、“病気や痛みがある人への配慮”をきちんと学びたい」
- 「ポーズやアジャストの技術は学んできたけれど、年齢層の幅に対応しきれていない」
- 「シニアや持病のある方が増えてきて、“明らかに同じクラス構成では危ない”と感じている」
- 「ただのヨガインストラクターではなく医療や介護の現場でも通用するような専門性を持ちたい」
最初は、ヨガ好きが高じてインストラクターになった方もお多いと思いますが、さらに一歩進んで、「ヨガを人の支えとして届けたい」と思っている方でしたら、是非ヨガセラピストという新たな階段を上ってみてください。
ヨガセラピストは、ポーズの完成形を指導するのではなく、「その人の体と心の状況に合わせて、今できることを一緒に探して伴走する山登りのシェルパのような役割を担います。
ヨガインストラクターがヨガセラピーを学ぶ意味
1.「やってはいけないこと」を知ることで、安心して「できること」を選べる
- たとえば高血圧・心疾患・骨粗鬆症・変形性関節症・椎間板ヘルニアなど、疾患やリスクに応じて避けるべき動きがあります。
- 一方で、同じ疾患でも「ここまでは安全にできる」動きもたくさんあります。
危険を回避する視点が身につくことで、自分も生徒さんも安心して安全なヨガを行うことができます。
2.「心の不調」を抱えた生徒さんへの関わり方が変わる
- 焦り・不安・落ち込み・慢性的なストレスなど、心の不調を抱えた方に対して、「頑張って乗り越えましょう」と励ますことが逆効果になる場合もあります。
- ヨガセラピーでは、感情の扱い方・“寄り添い方”・距離感の取り方も大切な学びの一部です。
ヨガの時間が、単なる運動やリラックスではなく、心のウェルネスを取り戻していく時間にするには、どうしたらいいかを学んでいきます。
3.一生のキャリアとしての「ヨガセラピスト」という道
- 年齢を重ねるほど、ハードなクラスや大人数のレッスンを続けることは、体力的にも現実的にも難しくなっていきます。
- 一方で、シニア・病気を抱えた方・メンタルケアとしてのヨガのニーズは、これからどんどん増えていきます。
ヨガセラピーを学び、協会認定ヨガセラピストとしての専門性を持つことは、「好きなヨガを、一生続けられる仕事として育てていく」ことにもつながります。
日本ヨガメディカル協会のヨガセラピーの特徴
1.“心と体の不調”に寄り添う、実践的なヨガ
- 腰痛、不眠、不安、慢性疾患、がんサバイバー…ヨガクラスにも、「どこかに不調を抱えた方」が少しずつ増えています。
- 協会のヨガセラピーは、そうした方々にも安心して参加してもらえるよう、「今の状態でできる範囲」で寄り添うやさしいアプローチを重視しています。
- ベッドサイドや椅子のままでも行えるやさしい動き・ポジショニング・呼吸法・イメージングなど、既存のクラスにも取り入れやすい具体的な方法を学ぶことができます。
2.エビデンスと安全性を大切に
- 海外のヨガセラピー研究やガイドラインを参照しながら、エビデンスに基づいた知見とともに、
禁忌・リスク・注意点を学びます。 - 「これはやってはいけない」「この症状のときは、この動きは控える」など、“しない方がいいこと”が分かるからこそ、安心して“できること”を選べるようになります。
- これにより、一般クラスにもヨガセラピーの視点を取り入れながら、グレーゾーンで不安になりがちな場面でも、自信を持って対応できるようになります。
3.一人ひとりの「自立」を支えるヨガ
現代は、慢性疾患・メンタル不調・長期の不調とともに生きる人が増えている時代です。整形外科や整体が大流行りです。
- そうした中で、「誰かに直してもらう」ではなく、「自分で自分をととのえる力」を取り戻していくヨガが、ますます重要になっています。
- ヨガセラピーは、生徒さんが自分の体と心のサインに気づき、小さなセルフケアを積み重ねていくことを支えるアプローチです。それは同時に、指導者であるあなた自身のセルフケアにもつながっていきます。
ヨガを「病気や痛みを抱える方」「心の不調を抱える方」にも届けていくには、
- からだの構造(解剖学・筋膜など)
- 呼吸と自律神経の仕組み
- 病気や治療による影響
- 心理・ストレス・トラウマへの理解
- 心と体のつながり
- 安全性とリスク管理、そして指導者としての倫理
といった、多面的な理解と、時間をかけた学びの積み重ねが必要になります。
もちろん、「まずは1講座から」始めていただいて大丈夫です。ただ、その先にはいつでも、「認定まで続けて学べる道が開かれている」ことも、ここでお伝えしておきたいと思います。
日本ヨガメディカル協会の学びの3つのテーマ
テーマ1 癒しの原点を学ぶ
― “なんとなく良い”から、“根拠を持って届ける”ヨガへ ―
ヨガを教えていると、「気持ちよかった」「楽になった」という声は届きます。でも、医療者やご家族から「どうして、どんな根拠で?」と聞かれたとき、言葉に詰まってしまうことはないでしょうか。
テーマ1では、ヨガセラピーの概念と倫理、自律神経の理解を通して、“なんとなく身体に良さそう”から一歩進み、根拠を持って安全に「癒し」を届けるための土台を整えます。
▶ ヨガセラピー入門講座~優しいポーズを教える力をつける~
ヨガセラピーの本質は、相手を「変えよう」とするのではなく、その人が自分の力で変容していく道を、ともに歩むことにあります。本講座ではまず、心の変容のプロセスに寄り添い、伴走する道案内(シェルパ)としての姿勢を学びます。その上で2日間を通して、4種類のカード教材を用いながら、ウォーミングアップの組み立て方と、22の簡単なポーズ/呼吸法を「安全に、安心して伝える」ための指導スキルを体系的に習得します。
すでにヨガの指導経験がある方やRYTをお持ちの方は、「簡単なポーズを教えることを、あらためて学ぶ必要があるのだろうか」と感じるかもしれません。しかし実は、簡単なポーズをゆっくりとしたテンポで、相手の呼吸や体調に合わせて教えることのほうが、はるかに繊細さと観察力を要します。シニアや病気や不調を抱える人の、ほんの小さな変化や反応を丁寧に読み取りながら、言葉と間(ま)で安心感をつくりながら、決して無理はさせずに気持ち良さを感じてもらえるスキルを磨きます。
▶ ポリヴェーガル理論~自律神経のトリセツ~
近年、大変注目されている新たな自律神経の理論である「ポリヴェーガル理論」を通して、なぜヨガが自律神経をととのえ、安心感や回復につながるのかを学びます。理論だけでなく、ポリヴェーガル理論に基づいた誘導の工夫も扱うため、マインドフルネス系・リラックス系クラスの質を、もう一段階引き上げたい方に最適です。
▶ ヨガセラピストとしての倫理
「どこまで踏み込んでいいのか」「メンタルの話をされたとき、どう対応するか」ヨガ指導の現場で迷いがちな境界線や、守るべき倫理を、座学とディスカッションを通して学びます。講座後のペアワークでは、自分自身の指導スタイルを振り返りながら、“ヨガセラピストとしての在り方”を具体化していきます。
▶ つながる心を育むコミュニケーション講座
ヨガセラピストにとって大切な資質のひとつは、「どう寄り添うか」と「どう言葉を交わすか」です。とくに、心の苦しさを抱える人と向き合うとき、ただ優しく話すだけでも、励ます言葉を並べることでも足りません。マナーや話し方のテクニックよりも、心が弱っている人に、どのような“在り方”でそっと寄り添うか、何を言うかよりも、「どう聴き、どう沈黙と共にいるか」といった、ヨガセラピストとしての関わり方の土台を扱います。
この講座では特に共感を土台にした2つの対話手法「非暴力コミュニケーション」と「ユマニチュード」を学びます。意見が合わないとき・つい感情的になりやすい場面でも、相手と自分の大切にしているものを尊重しながら対話を続けるためのヒントが得られます。生徒さんとの信頼関係づくりはもちろん、家族や職場での人間関係にも役立つ内容です。
テーマ2 体を知り、心と調和する
― 解剖学と筋膜の視点で、アーサナの意味がクリアになる ―
「膝が痛い生徒さんには、どこをどう調整すべき?」
「高齢の方や運動が苦手な方に、どこまでチャレンジしてもらえる?」
こうした悩みは、“ポーズをたくさん知っていること”だけでは解決しきれません。テーマ2では、機能解剖学と筋膜の最新知見をベースに、アーサナ(ヨガのポーズ)を「からだの使い方」として理解し直すことで、安全で無理のない指導へとつなげていきます。
▶ ヨガセラピーに活かす解剖学1
~基礎知識と人生100年を見据えた『立つ』『歩く』『座る』~
機能解剖学の基礎を押さえたうえで、「立つ・歩く・座る」といった日常動作をアーサナと結びつけて学びます。既に知っているポーズも、「どの筋肉・関節に、どんな負荷がかかるのか」を理解することで、生徒さん一人ひとりの体に合わせたオプション提示がしやすくなります。
▶ ヨガセラピーに活かす解剖学2~筋膜×ヨガ~
RYT200、500では筋肉系と骨格系については勉強した方が多いでしょうが解剖2では、健康を司るもう一つの大切な要素である筋膜系について学びます。この講座では全身を包み、つないでいる「筋膜」の姿勢・動き・感覚・自律神経・免疫システムとの関係を多角的に学びます。筋膜ライン、筋膜の粘弾性(伸びたり戻ったりする性質)や、豊富な感覚受容器を通じて痛みや心地よさをどう感じているか、さらにリンパや体液を動かす“ポンプ”としての役割についても学びます。これらを学ぶことによって、どのようにヨガを続けたら一生、美姿勢をキープして滑らかに健やかに動ける体でいられるかがわかってくるでしょう。
▶ ヨガセラピーに活かすリストラティブヨガ入門
“頑張るヨガ”だけでなく、“委ねるヨガ”をクラスに取り入れたい方へ。リストラティブヨガの考え方、休息がもたらす生理学的な意義、回復のメカニズムを学び、枕やバスタオルなど身近な道具を使ったポーズを実技で体験します。最高の休息の時間をヨガのレッスンに取り入れたいときの具体的なアイデアが得られます。
▶ シニアヨガ指導者養成講座
高齢者だけでなく体力に不安のある方や運動経験のない方にも安全にヨガを届けるための講座です。ポーズの軽減・調整方法、椅子ヨガ、グループクラスの組み立て方などを学び、「どんな人が来ても怖くない」指導力を養います。地域のサロン・介護予防事業・デイサービスなどへ活動を広げたい方にも役立つ内容です。テキストには86の調整ポーズが収録してありますので、シニアクラスのバリエーションを増やしたい方にもおすすめです。
ヨガセラピーでは、どの疾患にどのような動きが危険となり得るか、つまり禁忌や注意点についてはしっかり学びます。一方で、「この疾患にはこのポーズ」というように部分的に当てはめるのではなく、ヨガは本来、呼吸・姿勢・神経系・心の状態などを含めた全体のバランスを少しずつ整えていくものだと捉えます。だからこそ私たちは、病名に合わせて“効かせる”ことよりも、目の前の人の状態を丁寧に観察し、できること探しをすることを大切にします。そのために安全な動きと呼吸を通して、いかに安心感と回復力が働きやすい方向に導くかを学んでいきます。
テーマ3 マインドフルネスを育む
― “心にも効くヨガ”を、理論と実践で深める ―
「ストレスや不安やパニックといった心の問題にもアプローチしたい」
ヨガやヨガ哲学だけでなくマインドフルネスや心理療法の基礎知識は、心強い支えになります。テーマ3では、心の仕組みや感情の扱い方を学びながら、ヨガを“心に寄り添う実践”としてアップデートしていきます。
▶ 川野泰周先生のマインドフルネス講座(禅✕医療)
当協会のメディカルサポーターでもある精神科医・禅僧、川野泰周先生から、マインドフルネスの最新エビデンスと、心理学・仏教・禅の視点を学ぶ講座です。川野先生はマインドフルネスに関する著書も多数お持ちで、長年にわたり心の問題に向き合ってこられました。当協会のために特別に作成していただいた講義動画を視聴しながら、ナビゲーターのヨガセラピストとともにマインドフルネスの知識を深めるとともに、瞑想の実技も取り入れ、ご自身のセルフケアへとつなげていきます。
▶ 森田療法を共に学ぼう
~感情の法則を知れば心が楽になる~
「森田療法」はヨガやマインドフルネスと共通点の多い精神療法です。「不安やイヤな感情をなくす」のではなく、不安があっても自分らしく生きていく力に目を向けるアプローチです。現在の医療現場では、社会不安障害・パニック障害・強迫性障害・恐怖症といった不安症だけでなく、うつ病やパーソナリティ障害、心身症、慢性疼痛、がん治療中のメンタルケアなど、“とらわれ”の強い心の不調に対する治療法として、精神科・心療内科・心身医療の領域で活用されています。
この講座では、不安・緊張・イライラなどの感情が心の中でどう動いていくのかを知り、感情に振り回されず、上手に付き合う方法を一緒に探っていきます。
▶ マインドフルネス・ヨガセラピー(MYT)プログラム指導法入門講座
心身の不調を抱えた方向けに特化した、YMSJ独自のプログラムを体験し、その全容を学びます。「呼吸」「身体感覚」「感情」「思考」など、心の働きに気づきを向けるプロセスを、ヨガセラピーとしてどのように構成していくのかを理解できます。将来、メンタル面の不調を抱える方へのクラスや小さなグループワークを開催したい方の入口となる講座です。
プラスα
▶ 医療業界の基礎知識~医療機関と共に歩むために~
協会の修了生の中には、医療従事者ではないけれども、医療機関とつながってヨガクラスを担当されている方も少なからずおられます。このコースでは、「病院やクリニックと連携してクラスを持ちたいけれど、どこから話を始めたらいいか分からない」そんな方に向けて、医療業界の基礎知識や、連携・交渉のポイントを学びます。
よくあるご質問(ヨガインストラクターの方から)
Q.すでに RYT200 を持っています。内容が重なりすぎませんか?
A.基本哲学など、一部の内容は復習になるところもありますが、「不調を抱えた方への配慮」や「医療・介護とつながる視点」「個人に合わせてポーズを適応させる方法」など、RYT では扱いきれない部分を深く学ぶことが中心になります。

