この記事の要約】朝の光を浴びる、ゆっくり湯船に浸かる、軽く体を動かす、呼吸を整える、好きな音楽を聴く——「自律神経をととのえる」ためにできることは色々あります。けれどもポリヴェーガル理論(PVT)がまず大切にするのは、方法よりも先に、体が“安全”を感じているかどうかです。安心の感覚こそが、神経系を整える出発点になります。

ポリヴェーガル理論(PVT)では、私たちの神経系(特に自律神経)はストレスや人との関わりの中で、主に3つの状態を行き来すると考えます。

〇 安心して人とつながれる状態。
〇 危険を感じて身構え、闘う・逃げる準備をする状態(緊張や警戒)。
〇 あまりに強いストレスを受けたときに、力が抜けたり頭が真っ白になったりする「シャットダウン(不動化)」の状態です。

この記事では、アメリカの神経生理学者スティーヴン・ポージェス博士が提唱したポリヴェーガル理論を、日常の感覚と結びつけながらわかりやすく紹介します。

ポリヴェーガル理論は、社会的な行動(安心して人とつながる/警戒して身構える/圧倒されて動けなくなる、など)が、自律神経の状態と深く結びついて変化することに注目し、これらを人類が進化の過程で生存戦略として発達させてきた「体の安全サーベイランス(安全・危険を自動的に監視する)システム」という視点から捉える理論です。医学・心理学・トラウマケアなど幅広い領域で参照され、私たちの「ストレス反応」や「人との関わり方」を理解するための枠組みとして注目されています

この考え方を知ることで、たとえば――
人間関係でいつも緊張してしまう、相手の反応が読めずに落ち着けない、理由がはっきりしない疲れや不安感が続く、といったことに説明がつくかもしれません。

具体的な例を挙げてみましょう。家庭や職場に、機嫌が急に変わったり、威圧的な言い方をしたりする人がいるとします。その人の一言や目線、ため息ひとつで、体が縮こまったり、喉が締まったり、どきっとしたり、声がかすれてしまったり、呼吸が浅くなったりします。さらに、相手がその場からいなくなっても、その感覚を引きずってしまうことがあります。

ポリヴェーガル理論では、このような反応は「気の弱さ」や「心の持ちよう」で起こっているのではなく、神経系が危険を見積もって自動的に防衛モードへ切り替わった反応だと捉えます。相手の目や声の圧、間合い、気分の予測不能さに対して、神経系が無意識に「安全が確認できない」と判断すると(神経受容/neuroception)、交感神経が立ち上がり、心拍・筋緊張・警戒が上がります。その感覚を「引きずる」のも、根に持つ性格だからでも“気分”を引きずっているのでもなく、神経系がまだ安全だと感じ切れていないためだとPVTでは捉えます。

ポリヴェーガル理論の核となるのは、次の考え方です。

「人は心身ともに安全であると感じられて初めて、安らぐことのできる社会交流ができる。」「安全を求めることこそが、私たちが成功裏に人生を生きて行くための土台である。」(『ポリヴェーガル理論入門』より)

ポリヴェーガル理論とヨガ

2021年アメリカでのヨガセラピー・シンポジウムのポージェス博士の基調講演「ポリヴェーガル理論のレンズを通してみたヨガ:古来の智慧が現代の神経科学と出会う」から得た情報や現在取得中のPolyvagal Instituteの認定コースで学んでいることも織り交ぜていきます。まず最初にざっくりと説明してしまいます。

従来、自律神経は2種類(交感神経と副交感神経)と説明されてきました。これに対してポージェス博士は、ポリヴェーガル理論の中で次のような考え方を提唱しました。

副交感系(とくに迷走神経)には、働きの異なる2つの経路がある。(腹側迷走系/背側迷走系)
▶背側神経は進化のごく初期段階(原始的な脊柱類、爬虫類、両生類)で発達した神経で、絶体絶命の状況下で生命を守るために働くの究極の省エネモード。その結果として、シャットダウン状態(脱力状態/仮死状態)になる。 
▶腹側神経は進化の最後の過程(哺乳類)で発達したとされ、人の表情や声のトーン(韻律)を読んで、安全で安心の手がかりを受け取れた時に働きやすい。その結果として、人と健やかにつながり、くつろぎや安心感のある関係を築きやすくなる。

ポージェス博士は「ポリヴェーガル理論」とは「人が社会的スピーシーズ(種)として進化した軌跡を物語るもの」だと言っています。

それでは、ここから、もう少し詳しく説明していきます。

交感神経と副交感神経(従来)

従来の考え方では、自律神経は交感神経(ストレス系・緊張系)と副交感神経(癒し系・まったり系)の二つに大別され、人は毎日、緊張とまったりの間をシーソーのように行き来しながら、バランスを取って生活していると説明されてきました。

たとえば、ある一日を例にしてみましょう。朝起きて身支度をし、通勤や仕事の準備をしている間は、交感神経(ストレス系)がオンになりがちです。もし「大事なプレゼンの日なのに、うわ〜寝過ごした!」となれば、心臓がドキドキして冷や汗が出るなど、交感神経はマックス状態。

なんとか間に合って出社し、午前のタスクを乗り切った。お昼休みに、お気に入りのカフェでコーヒーを飲んでひと息つく——すると、副交感神経(まったり系)のスイッチが入りやすくなります。そして午後の会議や締め切りに向けて「よし、やるか」で、また交感神経がオンになる……という具合です。

交感神経(闘争か逃走か/Fight or Flight)

太古の昔、私たちの祖先が狩をしたり木の実を採ったりして暮らし、猛獣に襲われる危険が身近だった頃。危険をすばやく察知し、交感神経の“アクセル”を踏んで、身を守る/戦う/逃げるといった行動に速やかに移ることは、必要不可欠な生存戦略でした。

現代では、狼やトラに襲われるような環境ではありませんし、現在の日本は幸い戦火の中にもありません。それでも、電車に乗り遅れそうになって焦っているとき、大勢の前でプレゼンをするとき、怖い上司と一緒にいるとき。また、激しい運動をしたり、何かに気合を入れて取り組んでいるときには交感神経のアクセルが踏まれ、鼓動や呼吸が速くなったり、汗が出たりします。こうした反応は、太古の祖先たちと変わりません。

ストレッサー(ストレスの原因)は違っても、交感神経の反応そのものは同じです。ただし現代のストレッサーはより複雑で、交感神経が優位な状態が長く続きやすいと言われています。ストレスが慢性化して“アクセルを踏みっぱなし”の状態になると、休息モードに切り替わりにくくなり、心身の不調が出やすくなります。たとえば、不眠、気分の落ち込み、不安感、動悸・息切れ、イライラ、過呼吸、胃腸の不調(下痢・便秘)などです。

副交感神経(休息と消化/Rest &Digest)

反対に、安全で安心できる環境で「のんびりできる」「ほっとする」「癒される」と感じているときや、人間関係でも「この人と一緒にいると安心するな」と感じているときは、副交感神経が優位になりやすい状態です。

副交感神経は、心身を落ち着かせる働きに加えて、消化・吸収、睡眠、回復など、休息、生殖機能に関わる働きを担っています(※いわゆる「休息と消化/Rest & Digest」)。そのため、ストレスが続いて自律神経のバランスが乱れ交感神経が優位な状態が長引くと、休息モードに切り替わりにくくなり、眠りにくくなったり、胃腸の調子が乱れたりすることがあります。

ここまでは、従来の自律神経の説明でもよく知られている内容です。

ポリヴェーガル理論

ポージェス博士は、副交感系に属する迷走神経には、働きの異なる 「腹側迷走系 」と 「背側迷走系」 という2つの経路があることに注目しました。さらに、この2つは進化の異なる段階で発達し、それぞれ異なる役割を担う——という考え方を提唱し、これを ポリヴェーガル理論 と名付けました。

Polyvagal の「poly-」は英語で「多い/複数の」という意味です。「vagal」は迷走神経(vagus nerve)に由来します。vagus はラテン語の vagus(「さまよう」)から来ています。

迷走神経に複数の経路があること、また迷走神経が、胸やお腹など広い範囲に迷走するように枝を伸ばして走っているため、このような名前がついたとされています。。日本語では「多重迷走神経理論」などと訳されることもあります。

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腹側(ふくそく)迷走神経

ポリヴェーガル理論では、腹側迷走は「進化的に新しい、哺乳類で発達した迷走神経経路」と説明されます。主に横隔膜より上の領域に関わり、心臓や肺の働きを落ち着かせる方向に作用します。また、表情や声、聞くこと(耳)といった対人コミュニケーションに関わる働きとも連動すると考えられています。

私たちは相手の表情や声のトーン(韻律)などから「安全の手がかり」を受け取ると、体は防衛反応を解除し安心モードへ切り替わりやすくなります。その結果として、副交感系が働きやすくなり、心拍は落ち着き、呼吸も穏やかになり、人とつながりやすい状態が生まれます。ポージェス博士は、この対人交流に関わる仕組みを社会交流システム(Social Engagement System)と名付けました。

ニューロセプション

腹側迷走系・交感神経優位・背側迷走系——これら3つの反応(状態)を切り替える前提として、私たちの体は外部環境の「安全/危険」を意識より先に、自動的にチェックしています。ポリヴェーガル理論では、この“無意識の安全チェック”をニューロセプションと呼びます。

ここでイメージしやすいように、『風の谷のナウシカ』でたとえてみましょう。

『風の谷のナウシカ』

腐海に住む王蟲(オウム)は、ダンゴムシのような巨大生物で、14個の目をもち、高い知性と深い精神性を備えた存在として描かれています。人間が破壊や争いを繰り返すことに怒り、目を真っ赤にして大群で人間の居住地に襲いかかろうとします。けれどもナウシカが身を差し出すと、王蟲は触覚でナウシカを包み込み、その触覚を介したコミュニケーションによって、ナウシカが危険ではない存在だと理解し、怒りを鎮めていきます。

この「相手が安全かどうかを、言葉より先に感じ取って反応が切り替わる」という流れが、ニューロセプションのイメージです。ニューロセプションは第六感のようなものとも説明されています。

さらにニューロセプションで無意識で検知した情報が意識上に上がる感覚Interoception(内受容感覚/身体内部、内臓で感じる感覚のこと)とうものがありますが、それはまたの機会に譲ります。

日本のカワイイ文化とポリヴェーガル理論

ポリヴェーガル理論では、声の高さや抑揚(韻律)は、神経系が安全か危険かを判断するうえで非常に重要な「手がかり」だと捉えます。たとえば、猛獣のうなり声のような低くて単調(モノトーン)な声は、体に警戒を起こしやすく、母親の子守歌のような高めで抑揚のある声は、安心感やつながりを促しやすい、と説明します。

ここからは個人的見解ですが、この視点で見ると、日本のカワイイ文化や「ロリータ系アイドル」、そして多くのゆるキャラに共通する“子どものような顔立ちや声”も、ポリヴェーガル理論(PVT)の枠組みで説明できそうです。PVTでは、人は理屈より先に、声のトーンや表情、間合い、予測可能性といった手がかりから、神経系が無意識に「安全かどうか」を見積もる(神経受容/neuroception)と考えます。そういう意味で、カワイイは“安全キュー”を過剰なくらい分かりやすく提示するデザインです。

そして日本は、空気を読む・暗黙の了解・察する、といった「読み取り前提のコミュニケーション」が多く、対人ストレスが見えにくい分、神経系が落ち着きにくい社会なのかもしれません。だからこそ、明らかな「未成熟な無害さ」や「安心感」をまとった対象に、癒しや緊張の緩和を求める傾向が強まる――そう考えると腑に落ちます。ゆるキャラが役所や企業、公共空間にまで浸透しているのも、硬い制度や権威の“圧”をキャラクターで中和し、場の緊張を下げて人を近づけやすくする(共調整)装置として機能しているからでしょう。

ただ、その「安全の演出」が行き過ぎると、別の問題も起きるように思います。社会全体が“カワイイ=安心”に傾くほど、成熟した大人の率直さ、異議申し立て、境界線の明確さといったものが、どこか「場を乱す」「可愛げがない」として嫌われやすくなる。結果として、安心のための記号「かわいさ」が、同調圧力として作用する危うさもあると思います。

それは男女関係にも反映しているように見えます。約40年間アメリカで暮らした経験から言うと、アメリカでは、声が高い大人の女性が「幼く見える」「知的に見えにくい」と受け取られやすいです。私自身も、意識的に声を少し低めにして話すよう心がけてきました。反対に日本では、ある海外のコメディアンが「日本の女性は12歳の少女のような喋り方をする」と揶揄していたのを聞いたことがありますが、実際、若い女性ほど高音で話す人が多い印象がありますし、大人の女性でも「よそゆきの声は少し高めになる」という話をよく耳にします。テレビでも、童顔の女子アナがかわいらしい高めの声でシリアスな社会ニュースを伝える場面を見かけます。

PVTの言葉を借りれば、ここには「知性」よりも「親しみやすさ」や「安心感」という安全キューを優先して求める力学が働いているのかもしれません。言い換えるなら、女性に“安心させる役割”を背負わせる文化的な期待が、声や話し方にまで染み出しているのではないか――そう感じます(※個人的見解です)。

このように、一見「文化の違い」に見えることも、ポリヴェーガル理論の視点から眺めると、“安心の手がかり”としての声や表情という共通言語で捉え直せるのが面白いところです。

背側(はいそく)迷走神経

交感神経(闘う・逃げる)よりもさらに進化をさかのぼった、ごく初期段階に発達したとされる反応が、シャットダウン(不動化)です。戦うことも逃げることもできない絶体絶命の状況に置かれたとき、生命を守る最後の手段としてエネルギーの消耗を最小限に抑えるために、体が動きを止めたり、力が抜けたり、反応が鈍くなったりします。気が遠くなる、ぼうっとする、感覚が麻痺したようになる——といった形で現れることもあります。

イメージとしては、スマホの電池残量がごくわずかになったときに、不要なアプリがオフになって省エネモードに切り替わるようなものです。

「死んだふり」という生存戦略

「死んだふり」は、相手に「腐っているかもしれないから、食べるのはやめておこう」と思わせる行動だとも言われています。たとえばオポッサムは、死んだふりに加えて、肛門付近の分泌腺から強烈なにおい(死臭のような臭い)を出すことで、捕食者を遠ざけることがあるそうです。

オポッサムの死んだふり
人間にも起こる「動けない」反応

たとえばホラー映画や怪談で、怖いものを見た人が「本当はすぐ逃げなければならない」のに、腰を抜かしたように動けなくなってしまう場面があります。人間関係や仕事などで限界が重なり、もう無理だと感じて、何もする気が起きなくなったり、外との関わりを避けたくなったりすることもあります。

ポリヴェーガル理論の視点では、こうした状態は「心の弱さ」ではなく、圧倒的な脅威や負荷の中で命を守るために起こる、神経生理学的な反応として捉えます。

The Vapors! Swooning, Fainting Women in Film – Outspoken and Freckled

また、暴力や恐怖を伴う出来事に遭った女性に対して、「なぜ抵抗しなかったのか?」という問いが投げかけられることがあります。しかし、万策尽きて「命の危険」を強く感じたとき、体がフリーズ(強い不動化)に入り、抵抗したくても力が抜けて動けなくなることがあります。ポリヴェーガル理論は、これを「最後の防御反応の一つ」として説明します。

このことを知ることで、「なぜ抵抗できなかったのか」と自分自身まで責めてしまう苦しさが和らぐ人もいます。トラウマを扱う臨床心理学や精神医学などでも、ポリヴェーガル理論の枠組みは重要な視点として参照され、臨床応用も含めて注目されています。

(2022年9月加筆)最近、アメリカの心理療法士とポージェス博士の対談ポッドキャストを聴いていて、一つ私の理解に間違いがあったことに気づきました。その心理療法士も私と同じ勘違いをしていたのですが、ポージェス博士いわく、多くの人が同じ間違った理解をしていると述べていました。

背側迷走神経が活性化した時の反応は、フリーズ(日本語では凍りつきと訳されたりしています。)ではなく、シャットダウン状態で、力が抜けてヘナヘナと倒れ込むような状態だということです。以下の動画を見ていただくと、その状態がわかります。(絶叫マシーンに乗って恐怖のあまりに、気絶している状態に注目。)このような状態になる利点は、死の恐怖や痛みを軽減できることです。

一方、フリーズ状態というのは、背側迷走神経も交感神経危険も働いている状態で、危険が迫っていて逃げたい(可動化)という衝動はあり、体は極度に緊張状態にあるけれども、なんらかの情況で動いて逃げることができない時に起こる状態だそうです。たとえば過呼吸になって固まっているような状態、歯医者が死ぬほど怖いけれど治療台の上で固まっている状態、閉所恐怖症の人がMRIに入った時の状態(ポージェス博士が経験したことだそうです)、女性が襲われて逃げたい抵抗したいのだけれども、逃げることができない状態です。それを通り越した状態が失神で、背側迷走神経の不動化の状態とは、この失神状態のことです。

恐怖で失神した状態がわかる動画です。OH MY GOD!と恐怖で固まった後、気絶し完全に脱力しているのがわかります。

人の反応は3層

ポリヴェーガル理論:3つの状態の図

私たちは、人間関係において常に、王蟲の触手のようにニューロセプションを無意識下で働かせて、人の表情や声のトーンを読んだりして、安全の手がかりを探しています。(特にハグやキスの習慣がない日本人は、この機能が、社会生活を営む中で特に重要視されている気がします。)

そこから得た手がかりから、自律神経は三種類のメッセージを受け取り脳に伝え体の反応になります。

状態体に起こりやすいこと心の感じ・考え方の傾向
🟢安心してつながれる呼吸が深く穏やか/表情がやわらぐ/声が出やすい/体がほどよくゆるむ人と関わりやすい/余裕がある/柔軟に考えやすい
🟡警戒して身構える呼吸が浅く速い/心拍が上がる/筋肉に力が入る/消化器系不調焦り・緊張/注意が外に向く
🔴シャットダウン(不動化)体が重い・力が入らない/動きが鈍い/呼吸が止まりがち・浅い/無表情/声が出にくいぼんやりする/切り離された感じ/あきらめ・無力感が出やすい
進化を逆行する自律神経反応

私たちは人間関係の中で、まるで王蟲の触手のように、ニューロセプション(神経受容)を無意識下で働かせながら、相手の表情、声のトーン、視線、間合い、予測可能性などから「安全の手がかり」を探しています。これは“考えて判断する”というより、安全・危険・生命の脅威を、意識に上る前に神経系が見積もるプロセスだとPVTでは捉えます。
(※ここから先は私の感覚ですが、ハグやキスのような身体接触で安心を共有する習慣が比較的少ない日本では、こうした「非言語の手がかり読み取り」が社会生活上いっそう重視されやすい気がします。)

そして、その手がかりにもとづいて自律神経系(脳幹の回路を含む)は主に3つの“自律神経状態(モード)”へシフトし、その結果が呼吸・心拍・筋緊張・声や表情の出方などとして表れます。PVTでは、この3つは進化的な“階層”として説明され、安全が保たれているときは最も新しい回路=腹側迷走(社会交流システム)が優位になり、交感神経の過剰な動員にブレーキをかけやすくなる、と位置づけられます。

危険が迫る、あるいは安全が確認できないと判断されると、反応は階層の“下位”が前面に出る方向へ移りやすくなります(PVTでは「新しい回路が機能しないと、より古い回路が順に動員される」という説明になります)。

つまり私たちは、まずはコミュニケーションで解決しようとします(「話せばわかる」の段階で社会交流系=腹側が優位)。しかし、話し合いで解決しない/危険が増すとなると、動員モードへ移行しやすくなります(「問答無用の切り捨て御免」的に、闘争か逃走か=交感神経)。さらに、戦うことも逃げることもできないほど追い詰められると、最後は不動化(シャットダウン)へ――このときPVTでは背側迷走系が前面に出る反応として説明します(「もう無理」の背側)。
※ただしここは誤解が起きやすい点で、現実の自律神経状態はスイッチのように綺麗に三択で切り替わるというより、状況によっては混ざったり揺れたりもします。つまり腹側が緑色、交感神経が黄色、背側が赤色だとしたら、グラデーションのような状態もあるということです。

従来の自律神経の説明は、交感神経と副交感神経が拮抗する「二分法」で語られることが多いのに対して、ポリヴェーガル理論では、副交感神経(迷走神経)を腹側迷走(社会交流)と背側迷走(不動化に関わる回路)に分けて捉え、そこに交感神経(動員)を加えた階層的な3つの回路として理解しようとします。

Reading facial expressions: The art of deciphering body language | CIO

(私が20年以上前に翻訳したアメリカの911に関する記事「最悪の事態から生還する方法」の研究は、正にポリヴェーガル理論を裏付けていると思いますので、参考にしてみてください。)

ポリヴェーガル理論から見た明智光秀の気持ち

ここで、いきなりですが、織田信長と明智光秀を例にあげてポリヴェーガル理論を説明してみます。織田信長は、気分にむらがあり激しやすい性格。一方、光秀は非常に気遣いのできる空気を読めすぎるような人でした。光秀は、信長の下では、いつ地雷を踏んで信長の逆鱗に触れるかわからないという極度の緊張状態に常に置かれていました。特に、ふと漏らした一言が原因で欄干に血が出るほど頭を打ち付けられてからは・・・。

明智光秀と織田信長】二人の出会いと関係性とは? | 歴人マガジン

時は戦国の世、正に生きるか死ぬかです。光秀は、戦国武将の長としてお家と家来たちを守るために、逃げるわけにも(交感神経)、引きこもる(背側迷走神経)わけにもいきませんでした。主君の信長は腹を割って話せばわかる(腹側迷走神経/社会交流系)ような相手ではなく、追い詰められた光秀は、闘争(交感神経)を選ぶしかなかった・・・とポリヴェーガル理論から妄想してみました。

ポリヴェーガル理論で見直す人間関係

人間関係

その人と一緒にいて安らげるか?

ボージェス博士は自身の子供たちへの恋愛関係のアドバイスで「Do you feel comfortable with that person?(その人と一緒にいて、くつろげる/安らげる?)」と聞くそうです。 それは健全な人間関係、絆を築くには、「安全」と感じることが何よりも大切だからだと言っています。ポージェス博士は「常にストレスにさらされいる状態にある時、人は他人と交わることはできず、他人を助けることもできず、他人に助けてもらうこともできない」と言っています。(2021年SYTAR基調講演より)人間関係で安全だと感じた場合は、絆ホルモン、ラブホルモン、そっと抱きしめたいホルモンと言われているオキシトシンも分泌されます。もちろん男女の関係だけなく、親子関係、人間と動物の関係であっても同じです。

Beautiful Mother Snuggling With Her Naked Newborn Baby by Lea Csontos

ポージェス博士がヨガ押しの理由

ポージェス博士は国際ヨガセラピスト協会(IAYT)での基調講演で、次のように語っています。

「ポリヴェーガル理論は、ヨガという古来の智慧を現代の神経科学で説明したただけです。ヨガは身体的状態をコントロールする神経エクササイズに属します。つまりヨガをすることを通して自律神経に働きかけ、心を鎮めたり、ヨガを道具として、からだをコントロールすることを学びます。特に呼吸を大切にするヨガは、呼吸を通して自律神経をコントロールするツールです。」

また、ポージェス博士とIAYTの認定ヨガセラピストでもあるメリッサ・サリバン医師との共著の中では、ポリヴェーガル理論とヨガ哲学にある3つのグナの考え方は同じであると述べています。

世界を構成する3つのグナ(性質)

ヨガ哲学の中では、世界を構成する3つのグナ(性質)があると説かれています。その状態とポリヴェーガル理論の3つの反応が一致します。

「安全な可動化」と「安全な不動化」

ポリヴェーガル理論には、基本の3つの反応に加えて、「安全な可動化(恐怖のない可動化)」「安全な不動化(恐怖のない不動化)」という捉え方もあります。

「安全な可動化」とは、人が安全・安心を感じているときに、過度な防衛反応が抑えられたまま、活発に動ける状態です。たとえば鬼ごっこをしている子どもたちを思い浮かべてみてください。どの子も「本物の鬼に食べられる」という恐怖で顔を引きつらせて逃げているわけではありません。むしろ子どもたちは、こうした遊びを通して、駆け引きやルール、相手との距離感といった社会性を学んでいます。

一方、「安全な不動化」は、「安全な可動化」と同じく、人が安全・安心を感じているときに、防衛反応が過度に働かないまま、静かにじっとしていられる状態です。たとえば、座禅や瞑想をしている人、ヨガの最後のシャヴァーサナ(屍のポーズ)、赤ちゃんを抱く母親と抱かれている赤ちゃん、あるいは信頼し合う二人が、ただ一緒に静かにいるだけで満たされている様子を思い浮かべてみてください。

ただし重要なのは、こうした状態がスイッチのように「スパッ」と切り替わるわけではないという点です。現実の私たちの神経系は、状況に応じて揺れ動き、グラデーションのように連続的に移行します。さらに、ひとつの反応だけが単独で起きるのではなく、たとえば「落ち着いて人とつながれている一方で、体は少しソワソワしている」「表面上は平静でも内側は緊張している」といったように、複数の状態がブレンドした“ハイブリッド”として現れることも少なくありません。だからこそPVTでは、「今どの状態か」をラベルで決めつけるよりも、「安全がどの程度感じられているか」「どの反応がどれくらい混ざっているか」という“程度”の視点で観察することが大切になります。


ここまでは2021年に書いたものですが、新たに「ジャニー喜多川の犯罪とポリヴェーガル理論」として追記します。

PVTは、様々な分野での応用が進んでいます。たとえば、「Clinical Application of Polyvagal Theory」(PVTの医療的応用)という書籍における、第6章「虐待を経験した子供たちのための深い安全性の実現」の中では、現在、大きなニュースとなっている身体的、性的虐待を受けたこどもが、どのようなダメージを受けるか、についてポリヴェーガル理論の視点から説明がなされていますので要約します。

親、親戚、教師、コーチなど、本来こどもたちを守るべき立場にいる人たちによる性的、身体的、精神的な虐待は、こどもに恐怖を与え、傷つけるだけでなく、こどもの安全に対する感覚を深く侵害してしまいます。いつ、殴られるか、いつ性的に虐待されるかという予測できない恐怖で子供の可動化(逃げるか闘うかの交感神経)は常に過活動の状態となり、心は恐れで満たされます。もし、逃げることができない状態であれば、生存のために不動化や乖離反応を起こします(背側迷走神経)。こどもは、縮こまり、声を失い、身体と心は安全であることをあきらめてしまいます。

また、臨床心理士のアリエル・シュワルツは、以下のように解説しています。ケアギバー(親や保護者など子供の世話をする人)によって虐待されている子供たちは、危険な環境から逃げる必要と、ケアギバーに依存する必要との間の葛藤に直面します。子供たちが虐待的な環境から逃れる方法がないとき、その虐待に堪え、生き延びるために、ケアギバーへの依存関係を維持する自己と、虐待の現実を抱えている自己を切り離さなければならないために人格の解離症状が起きます。そしてその症状は、虐待を思い出すか認識するのを避けるために、大人になっても続くことがよくあるとシュワルツは言います。

ジャニー喜多川の事件のように、権力差と依存関係のある環境で起きる性的虐待では、子どもは 「優しい大人」「特別扱い」「評価してくれる人」といった“安全に見える手がかり(安全キュー)”を受け取りながら、同時に境界線を侵される脅威も体で感じ続ける、という 矛盾した状況に置かれます。(PVTでは安全キューが入ると防衛反応が下がり、関係性にアクセスしやすくなると説明しています。)

ニューロセプション(無意識の安全/危険の見積もり)が、相反する情報にさらされ被害者は混乱します。逃げたいのに逃げられない、拒否すれば不利益や報復が起きる――そうした条件が重なると、子どもの神経系は、交感神経の過活動(警戒・緊張・過覚醒)と、背側迷走系の不動化(凍りつき・解離・声が出ない・身体が固まる)を行き来しやすくなります。さらに重要なのは、この状況では「闘う/逃げる」だけでなく、相手を刺激しないように合わせる、機嫌を損ねないように振る舞うといった Appeasement / Fawn(迎合/ご機嫌とり・“please & appease”) が起こり得ることです。このような状態は同意でも好意でもなく、生き延びるために社会交流システムを“防衛目的で動員する”ハイブリッド状態としてPVTは捉えます。

その結果、加害者が見せる“やさしさ”と暴力性の落差の中で、子どもは混乱しながらも、関係を壊さないこと(=身の安全の確保)を最優先にせざるを得なくなります。外からは「絆が深まった」ように見えてしまうことがあるとしても、実態はしばしば 支配が強化され、抜け出しにくくなる結びつき(トラウマ結合) となります。さらに一文だけ足すなら(批判を効かせる)安全キューを装って近づき、子どもの神経系の“社会交流”を利用して支配を成立させる——これは、加害が加害として見えにくくなる構造そのものです。

トラウマ・ボンドとは、被害者と加害者との間に形成される絆のことで、被害者は加害者に対して深い忠誠心や愛着を抱くようになることです。トラウマ・ボンドを形成するために加害者は、虐待的行為だけを繰り返すのではなく、時に、別人のように親切ややさしい行為も示します。「虐待のサイクル/周期」とも呼ばれています(DVでもよくあることです)。

このような虐待と報酬の連鎖によって、被害者は加害者が悪い存在ではなく本来は良い存在であると信じてしまいます。

虐待のサイクルの図
上記は「虐待のサイクル」と呼ばれている図です。ポリヴェーガル理論から見るとSTAGE1~2は闘争か逃走かの交感神経、もしくは恐怖に打ちのめされる背側迷走神経の状態です。STAGE3~4にかけて虐待者から強い安全キュー(優しい声、抱擁、贈り物、親密さ、将来の約束)が出され、被害者の神経系が防衛反応を下げ腹側迷走へ戻りやすいです。けれども、また爆発が起こるかもという予測不能性があるためSTAGE3~4でも防衛反応は完全に解除されません。(たとえれば、どんなに晴れていても予測不可能な突然の嵐に備えて傘を携帯している状態。)つまり、このサイクルの中では完全に腹側迷走神経の安心安全を感じる状態には入れず、一緒にいるとほっとするような人間関係を築くことは不可能ということになります。

ジャニーズ事件

このようにジャニー喜多川の行ってきた行為と被害者との関係はポリヴェーガル理論によって明確に説明することができます。さらに、ポリヴェーガル理論には、「協働調整(Co-regulation)」という言葉があります。協働調整とは不安や不穏になった時に哺乳類のみが取る社会交流システム(腹側迷走神経)を活性化する行動です。つまり、他者からのやさしい表情やまなざしや、母親のような優しい韻律のある声音、スキンシップなどによって不安な気持ちをなだめたり鎮めたりする反応です。猿が毛づくろいをしたり、母親が赤ちゃんをあやしたり、そして赤ちゃんの笑顔で母親が癒されたりといったことも協働調整にあたります。このような行動によって、人は緊張感(交感神経)を鎮め社会的動物として協調して生きていこうとします(腹側迷走神経)。特に、人間は生まれてから成長するまでの期間が非常に長いため、太古の昔の狩猟生活をしていたような社会の中では、社会交流システムを発達させ安全を確保することは生き残るのために不可欠でしたに。ポージェス博士は、「安全は生物学的に不可欠なものである。」と繰り返し述べています。(特に世の中から信頼されている絶対的な存在であるジャニー喜多川という大人は、こどもたちにとって最も安全だと思える存在だったはずです。)

性犯罪者は、このような社会交流システム(腹側迷走神経)を利用して、巧妙に甘い言葉や表情などで少年少女たちを安心させた上で懐柔し自分の性的欲求を満たそうとします。

新著”Our Polyvagal World”

さらに2023年10月発刊のポージェス博士とその息子さんとの共著に書かれている内容を付け足します。

危険な情況において生存戦力として取る行動は「闘争か逃走」もしくは「フリーズか脱力」の二つだけでなく、もう一つの生存戦略として、危害を加えようとする加害者を支持したり、なだめようとします。特に、慢性的に虐待されていたり、誘拐監禁されているような情況で起こります。

心理学では、特にトラウマ反応に関連して言及される行動で、FawningとかAppeasmentと言われています。これは加害者による脅威や攻撃を和らげて、自分自身を守るために、加害者に適応しようとする行動や態度を取ることです。具体的には、他者を喜ばせたり、従ったり、自分のニーズや感情を無視して他者の要求や期待に応じたりします。

FawningとAppeasementは、英語でも同じような意味で使われることも多いですが、PVTではこの二つは少し違うものだと著者は述べています。Fawning[おべっかを使う、こびへつらう]においては、被害者は加害者を喜ばせ攻撃を和らげることを期待して従順に従うことで、Appeasement[懐柔]は、犠牲者が実際に加害者に同意、同調することによって、加害者の神経系に納得させる試みです。

前者は、背側迷走神経と交感神経が関わっています。被害者は表層のみは従順さを装っていますが、決して加害者に心を開いてはいません。つまり社会交流システムは稼働していません。ですので加害者は、協働調整ができないために、被害者の表層のみの不誠実な従順な態度に対して却って怒りや攻撃性を強めたりします。

一方、後者は社会交流系と背側迷走神経と交感神経の全てが関わっています。被害者は加害者に対して(洗脳などによって被害者意識を持たずに)同調しているので、社会交流系を稼働しつつ従順になるため、加害者の神経系は協働調整によってなだめられます。それによって、被害者の生存率はより高まりますが、自分の意志で加害者から逃げることはなくなります。

たとえば、幼い時に誘拐された子どもが逃げる機会があったのに被害者の元で何年も暮していたという事件が、日本でも海外でも度々起こっていて、なぜ被害者は逃げなかったのか?という疑問が投げられることがありますが、それは後者の例だと説明がつきます。

前者、後者のいずれにしても被害者には罪のないことです。著者は、これらの行動は、自律神経が生存戦略のためにとった反応だということを理解し、サバイバー自身も、なぜ自分はあのような行動をとったのかと自分を責めることがないようにと述べています。

安全な社会環境つくり

ちなみに、アメリカではボーイスカウトのリーダーによって各地で起こっていた性犯罪が問題になりました。(ボーイスカウトは、その事件の賠償責任のために2020年に破産しました。)性犯罪者が巧妙に怪しまれずに子供たちに接することのできる環境に入り込むことはよく知られていました。私の息子が通っていた男子高校でも、町では有名な野球のコーチが性犯罪を行い、被害者の少年が近くの踏切で自殺し、さらに父親が後追い自殺をするという悲しい事件が起こりました。(その野球コーチは懲役120年となりました。)また、2010年名門校ペンシルバニア大学で銅像まで建っていたレジェンドのアメフトコーチが、長年にわたって少年や青年に性犯罪を行っていたことが明らかになりました(最低30~60年の刑)。カソリック教会の神父たちによる性犯罪は世界規模で起こっていました(1950から2020年にかけて216,000人の犠牲者、内80%が少年)。

アメリカでは、少年少女に関わる職業やボランティアのバックグラウンドチェックは厳しくされています。1990年代に起こった痛ましい犯罪の後にメーガン法という法律ができ、一度未成年者に性的被害を加えた人は、足に探知機をつけられたり、彼らの住所がオンラインで誰でも特定できるようになっています。もし、彼らが引っ越しをした場合には、新居のある半径、数キロの住人に知らされます。そこまで子供を性犯罪から守るシステムが徹底していました。それは性犯罪者の多くが再犯を繰り返されることが知られているからです。一方の日本では、性犯罪を犯した教師が、別の地域でまた教職について同じような犯罪を繰り返しています。今回のジャニーズの事件は、稀にみる芸能界だけの問題ではないはずです。日本全体で、こどもたちは本当に守られているのか?もっと精査し安全な社会環境をつくっていく必要があると思います。

よくある質問

Q1. ポリヴェーガル理論を、ひと言でいうと?
A. 体がストレスや人との関わりに反応するときの状態を「落ち着く/身構える/固まる」の3つで見ていく“見取り図”です。

Q2. ニューロセプションとは?
A. 体が、表情・声・雰囲気・距離感などから「安全そう/危なそう」を無意識に判断する仕組みです。

Q3. 3つの状態は、どれが良い・悪い?
A. どれも体を守るための反応で大切です。

Q4. ヨガはなぜ自律神経をととのえるために役立つと言われているの?
A. 呼吸を整えたり、体をゆるめたり、安心できるペースで動くことで、体が“安全の手がかり”を受け取りやすくなるからです。ヨガの練習は3つの状態を切り替える練習でもあります。

Q5. 緊張しているとき、まず何をすればいい?
A. まず「吐く息を長めに」を数回。次に足裏を感じ、視野を少し広げます。

Q6. 固まってしまう感じのときは?
A. 大きく頑張るより、指先・足指など小さく動かす、立てるなら立つなど“少し動く”を優先します。

Q7. 不動化は体が固まって動けないような状態?

A. ポリヴェーガル理論では背側迷走神経の不動化は、固まるのでは力が入らずに動けなくなる状態と説明しています。固まって動けない状態は「交感神経(戦う/逃げる準備の高まり)+背側迷走神経(不動化)」のハイブリッドとして説明されることが多いです。フリーズは「背側迷走神経」のシャットダウン」と違って、内側では 緊張や警戒(高覚醒)が残ったまま、外側の動きが止まるように見える、というような状態です。

ポリヴェーガル理論とヨガの関係をさらに詳しく学びたい方は、「ヨガセラピーのためのポリヴェーガル理論~自律神経への新たなアプローチ~」をご受講ください。次回の講座は2026年5月2日(土 )です。この講座は全米ヨガアライアンスRYTを取得した方の継続教育4時間としてご利用いただけます。

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関連記事:「こんまりメソッドとポリヴェーガル理論」「迷走神経をととのえる音

・アメリカの大学で、人類学(進化論を含む)を専攻し学士号を取得
・国際ヨガセラピスト認定機関 IAYT にて、心と体に関する 1000 時間トレーニング修了
・SYTAR 2021 でスティーヴン・ポージェス博士の基調講演を聴講
・ポリヴェーガル理論に関する海外講座を継続的に受講し、「ヨガ×自律神経」の視点から臨床・教育に応用している

参考文献・原典

  • Ariel Schwartz, The Complex PTSD Workbook ほか、トラウマとPVTに関する文献。
  • Stephen W. Porges, The Polyvagal Theory: Neurophysiological Foundations of Emotions, Attachment, Communication, and Self-regulation.
  • Stephen W. Porges, Deb Dana (eds.), Clinical Applications of the Polyvagal Theory.
  • Stephen W. Porges, Seth Porges, Our Polyvagal World: How Safety and Trauma Change Us.
  • Stanley Rosenberg , BENJAMIN SHIELD, et al., Accessing the Healing Power of the Vagus Nerve: Self-Help Exercises for Anxiety, Depression, Trauma, and Autism
  • Stephen W. Porges, Polyvagal Safety: Attachment, Communication, Self-Regulation (Norton Series on Interpersonal Neurobiology)

執筆者:村松ホーバン由美子
日本ヨガメディカル協会 公認講師&WEB編集責任者/C-IAYT認定ヨガセラピスト
E-RYT500、介護予防指導士、米国シニアヨガ指導士、ムーブメントセラピー指導者、ORIGINAL STRENGTH認定プロフェッショナル、日英通訳・翻訳。埼玉県在住。

・NJ州立Rutgers大学で、人類学専攻
・全米ヨガアライアンスRYT500
・国際ヨガセラピスト認定機関 IAYT にて、心と体に関する 1000 時間トレーニング修了
・ポリヴェーガル理論に関する海外講座を継続的に受講し、「ヨガ×自律神経」の視点から臨床・教育に応用している

日本ヨガメディカル協会では【解剖学② ヨガセラピー✖筋膜】【ヨガ✖ポリヴェーガル理論✖自律神経】【シニアヨガ指導者養成講座】などを担当し、高齢者や医療・介護現場で役立つヨガセラピーの実践と指導者養成に力を入れている。

※このコラムは、ヨガセラピストとしての経験とポリヴェーガル理論に関する学びをもとに、自律神経や心の反応をわかりやすく説明することを目的とした「教育・啓発記事」です。診断や治療方針の決定は、必ず医師・専門家の判断を優先してください。