乳がんリハビリヨガのインストラクター:高橋かおるさん

 乳がんの治療中、治療後の方たちにヨガを指導されている高橋かおるさんの埼玉県でのクラスを見学させていただきました。高橋さんご自身が、乳がんを経験されているということで、クラスの後には、治療経過などに関して相談されている方がいたり、参加者さん同士での情報交換も活発に行われているようでした。

 参加者さんの年齢層は広く、お年を召した方から、お子さんが、まだまだ小さい方もいたり、AYA世代(Adolescent and Young Adult/15歳から30歳前後の思春期・若年成人)と言われる若くして乳がんを患っている方たちもいらっしゃいました(近年AYA世代の乳がんが増えているとのこと)。また車で一時間もかけていらしている方もいました。

 皆さん、初対面の私にも、大変オープンにお話をしてくださいましたが、それは恐らく、ヒマワリのように明るい、高橋さんの笑顔とお人柄がクラスの皆さんにも反映しているのだと感じました。高橋さんが、ヨガに出会い、乳がんヨガのインストラクターになるまでの道のりについて、お話をお伺いしました。

ありのままの自分を受け入れたら前向きになれた

――乳がんリハビリテーションヨガのインストラクターになったきっかけを教えていただけますか?高橋さんが乳がんに罹患されてから、そしてその後の治療、回復に、何か役に立ちましたか?

元々ヨガのインストラクターでしたので、乳がんの手術後にリハビリを兼ねてヨガのポーズで腕を動かしたり心を落ち着かせる呼吸法 や瞑想をしたりして精神を落ち着かせることができました。どうして癌になってしまったのだろうと原因を突き詰めたり自分を追い込んだりするときもありましたが、ありのままの自分を受け入れることが今の自分に必要なことなのだと思うようになり気持ちを前向きに向けられるようになりました。

術後の経過も良かったことから翌年、自家組織による乳房再建手術をし、更に翌年自家組織の乳頭乳輪手術を行いました。私の経験を通して乳がんになられた方にもっとヨガの良さを知っていただきたいと思い、乳がんリハビリヨガのインストラクターになりました。

―― 乳がんヨガのインストラクターになる以前からヨガインストラクターでいらしたとのことですが、その頃はどんなヨガを教えていらっしゃいましたか?

地元の近くの公民館で主婦の方からご年配の方々へハタヨガベースの簡単なヨガをおこなっていました。この時期は、体をほぐす目的でポーズのみを行っていました。

――元々のヨガとの出会いまでさかのぼって教えていただけますか?

yogaとの出会いは子育てに少し余裕ができ体力作りにフィットネスクラブへ通い始めたことからでした。そこで参加したヨガクラスがとても気持ちが良く癒しが得られることに感銘を受けこの癒しを他の方にも知っていただきたいと思うようになりヨガインストラクターの道を歩み始めました。

― 乳がんに特化したヨガがあるということをご存知ない方が、ほとんどだと思いますが、特に、インストラクターになられた初期は、どのようにして広めて行きましたか?

乳がんヨガクラスを開催した当初は、ブログをやっていなかった為、全く広がらず1年くらいは生徒さんが2名しかいませんでした。そこで、ブログで乳がんヨガを宣伝したところ少しずつ増えていきました。また、病院で乳がんヨガをやらせて頂くようになり、そこから乳がんヨガの認知度が高まったように思います。

そっと寄り添い安心できる場つくり

―― いままで出会った参加者さんの中で最も印象に残る方がいたら教えてください

クラスに長く通って下さっている生徒さんの中で、リンパ浮腫が軽減されたという嬉しい報告がありました。

―― クラスの中で最も大切にしていることは、どんなことですか?

クラスに参加される方は、治療中の方が殆どです。再発の方もおられ思うように治療が進まない方もいらっしゃいます。不安で心が押しつぶされそうになることもあると思いますので、そっと寄り添い安心できる場作りを大切にしています。

乳がん患者さんが安心して通えるヨガ・クラスを普及したい

―― 現在、乳がんの治療中の方に伝えたいメッセージが何かございますか?

乳がんヨガは、治療中の方でも無理なく行えるヨガです。ポーズだけではなく呼吸法でも心身を整え本来の自分を取り戻し前向きな気持ちになります。また、同じ病気の方々とのコミュニティの場としても参加して頂けますので、お近くに乳がんヨガクラスがありましたら、一人で悩まず是非参加してみてください。

――今後の展望について教えてください。

乳がんヨガが認知され始めているものの乳がんヨガを開催しているクラスがとても少ないのが現状です。各地域で乳がん患者さんが安心してヨガクラスへ通えるように安全なヨガクラスを全国に普及し患者に寄り添える知識ある優秀なインストラクターを育成していけるようにBCY institute japan にて活動を続けていきたいと思います。

乳がんヨガのBCY Institute Japan

取材・文:ホーバン村松由美子