コロナ禍におけるメンタルケアに対する関心の高まりとともに、当協会には医療従事者の受講や医療機関からの講演依頼などが少しずつではありますが確実に増えてきています。しかしながら日本におけるヨガセラピーの普及は、まだまだ黎明期の段階にあることに変わりはありません。

わたしたちは、日本でも必ず、近いうちにセラピーとしてのヨガが普及することを信じて地道に活動を続けています。ここで、世界の国々のヨガセラピーの普及状況について紹介したいと思います。

アメリカ

アメリカでは通称IAYT(国際ヨガセラピスト協会・1989年創立)がヨガセラピーの認知と普及活動を牽引しています(日本ヨガメディカル協会は日本で唯一のIAYTメンバースクールです。)。IAYTには多くの医療者が在籍しており、彼らの継続的な啓発活動の結果、アメリカでは、ヨガセラピーが健康増進やストレス軽減の手段として広く認知されるようになりました。現在、多くの病院やクリニックで、ヨガセラピーを補完医療や統合医療の一環として取り入れています。

大学や医療機関でのヨガセラピーの効果に関する研究も増加しており、特に慢性的な痛み、うつ病、不安障害、睡眠障害、心血管疾患の治療に役立つという科学的なエビデンスの蓄積が進んでいます。

以下はヨガセラピ―のセッションを提供している病院一覧です。

  • アルバート・アインシュタイン医科大学
  • CHIヘルスケア
  • フィラデルフィア小児病院
  • シンシナティ小児病院・医療センター
  • クリーブランドクリニック
  • コロンビア大学アービング医療センター
  • デューク統合医療
  • ガイジンガー医療センター
  • ハワード郡総合病院
  • イノーバ
  • メイヨークリニック・ヘルスシステム
  • マウントサイナイ・ヘルスシステム
  • ノースウェルヘルス
  • ボーモント・ヘルス
  • 大学病院コナー統合医療ネットワーク
癌治療関連でヨガセラピーを取り入れている病院

多くの場合、がん患者やケアギバー(介護する家族)を対象に、症状を軽減したり、生活の質を向上させることを目的として、また、癌サバイバーが健康的なライフスタイルを長期にわたって維持できることを目的としてヨガセラピーが行われています。

  • Memorial Sloan Kettering Cancer Center
  • MD Anderson Cancer Center
  • Ottawa Integrative Cancer Centre Group
  • Simon Cancer Center
  • University of Maryland Upper Chesapeake Health
  • UPMC Hillman Cancer Center
メンタルケア

個人セッションや少人数のヨガセラピーのセッションが、ストレス対処、不安やうつ症状に対する自己管理ツールや神経系の調節、不眠症などへの対処法として行われています。

  • Chicago Behavioral Hospital
  • Venice Family Clinic

ドイツ

ドイツでは、健康保険料の著しい値上げに伴って、ヨガセラピーをはじめとする自然健康法が人気です。多くの保険会社が独自のヨガクラスを提供したり、筋肉の柔軟性向上や心血管系の強化といった目的に限定してはいますが、ヨガクラスの費用を補助しています。

イギリス

2000年、イギリス政府は補完療法の規制の必要性について調査し、規制団体の設立や標準化された教育プログラムの必要性を提言しました。これを受けて、「The British Council for Yoga Therapy」が設立され、ヨガセラピストの専門的な団体としての基盤を築いています。

UK国民保健サービスは、スタッフをサポートするためのヨガを模索しており、国保の福利厚生にヨガを含めることを検討するワーキンググループを結成しています。

フィンランド

北欧では、ヨガセラピーは、健康的なライフスタイルを重視する文化背景の中で、医療と結びつきながら発展しており、特に、フィンランドでは、メンタルヘルスや心血管疾患に対するヨガの効果についての研究が活発に行われており、その結果が医療現場に反映されています。

スウェーデン

スウェーデンの多くの病院では、心臓リハビリの一環を含め、ヨガのプログラムを取り入れています。

文責:Yumiko H. M