Q.私は先生のブログの大ファンです。乳がんの治療の一つとしての放射能治療について質問があります。治療から1年経ちましたが可動粋が限られています。毎日の生活に支障はありませんが、ヨガをすると体の左右に大きな違いを感じます。医者は余り情報をくれませんが、皮膚が放射能治療を終えた後に引きつった感があります。素晴らしい理学療法士に出会い、その方とゆっくりとした動きで長く保持する受動的ストレッチを行っていますが、まだまだ先は長いです。先生のお考えを聞かせてください。
バックスター:私は乳がんには詳しくないので、私のブログのゲスト貢献者であり、多くの乳がん治療後の方々にヨガを教えてきたシェリル・フェナー・ブラウンさんに伺いました。
バックスター:放射能治療は肩や腕の可動粋にどのような影響を与えますか?
シェリル:癌の放射能治療はしばしば胸部を覆う皮膚に痒み、熱感、色素沈着、乾燥、剥離、圧痛など多くの副作用を引き起こします。これらの問題は治療が終了した数日後、数週間後、または数ヵ月後に突然現れるかもしれません。放射線治療後の薬剤投与により照射野に一致した部位に炎症反応が誘発される現象のことを放射線リコール現象と言いますが、このような副作用は治療後一年以上経ってから始まるかもしれません。
放射線治療を受けた乳癌の患者さんは、胸や脇の下の皮膚がデリケートな部分が引きつったように感じたり、繊維化によって厚くなったり結合組織が厚くなったり、傷跡になったり、放射線起因の強皮症になったり、皮膚の層が硬くなったりするかもしれません。これらの合併症により、また外科手術やリンパ節の切除の結果、筋肉が堅くなることにより可動粋は限られるかもしれません。患側の胸、肩、腕の可動粋のアンバランスが、ヨガの練習中により顕著になるかもしれません。
他の乳癌治療や治療からの回復が、可動粋に影響することはありますか?もし、あるとしたら、どんなことでしょうか。
私が学んだアユールヴェーダの智恵に基づく統合的ヨガセラピーのエネルギー理論によると、化学療法にしても放射線治療にしても他の薬物治療にしても、ほとんどの癌の治療は体に熱を加えるものであり、しばしばこの余分な熱が、吐き気、炎症、関節痛、皮膚損傷と云った副作用を引き起こします。
そのような方々に、どの時点で、どのようなヨガをすることを提案しますか?
統合ヨガセラピープログラムにおけるトレーニングを基本にして、治療中、もしくは治療後の最初の6ヶ月に暖める系のヨガ、または体のエネルギー層(サトルボディ)を暖めるような練習はおすすめしません。Langhana(サンスクリット語で「reduction/減らす」という意味)と呼ばれている練習、または冷やす、リラックスする練習である限り、治療中の人にも安全です。
身体的なLanghanaの練習は床でのウォームアップ、座位または膝をついての脊椎、肩、ヒップのゆっくりとした動き、動きをつけた戦士のポーズ2、戦士のポーズ1(両手を胸にあてて)Viniyogaシステムの立位のポーズ、三角のポーズ、椅子を使った太陽礼拝、ヴィパリタカラニのような補助を用いた逆転のポーズ、また陰やリストラティブのヨガの練習です。
治療サイクルの合間や治療後6ヶ月の間に、一人一人のニーズに特化したヨガの練習をし、スローダウンして癒す時間とスペースを自分にあげることです。冷やすこと、地に根付くムードラ、冷やす呼吸(腹式呼吸、吐く息を止める。左の鼻腔にフォーカスした呼吸)、そしてまた導入リラクゼーションやヨガ式瞑想などでが、この期間において重要となります。
このような練習は不安を緩和し過剰反応している心を沈め、ストレスを減らすかもしれません。また自信を与え、再発の失望と恐れを減らすことができます。コミュニティー(サンガ)を感じることで、クラスではがん治療を受けている人々との親近感を感じ、治療が終わってからも助けになりえます。
すでに述べていただいたことの他に、ヨガの練習で助けになることはありますか。
胸や肩の可動域のために、シンプルな首と肩の練習から始め、体のシークエンスや、紐を使ったバクスター先生が教えるダイナミックな肩の動きに進み、体の左右のバランスの違いを感じ取るようにします。
治療後6ヶ月で、より拡張する練習を取り入れるようにします。橋のポーズやマリチアサナ3などのより深い後屈、ひねり、戦士のポーズ3や三角のポーズのような立ち位で長くホールドするより難しいポーズ、元気の出るムードラや、体を温める呼吸、ヴィニャーサのような、より活発なスタイルへと常に練習の効果を観察しながら、体に痛みを感じず呼吸が苦しくならない限りは注意深く移行していくといいでしょう。
乳がんの治療している方や乳がん治療の終えた人にとって他に明らかなヨガの効用は何かありますか。
ヨガと癌についてわかっていることは、動くことと、ストレッチすることと、呼吸をすること、すべてが、リンパを流す助けとなること。そしてそれが、健全な免疫システムのために欠かせないことです。ヨガを練習することは、リラクゼーションを促し、良い免疫反応を促進します。ヨガと癌治療のリサーチでは、気分を上向かせ、ウツや不安を軽減し疲労を和らげ、睡眠や生活の質QOLを高めるといった効用もあります。
ありがとうシェリルさん!具体的にできることを教えていただきとても参考になりました。
このインタビューを読んでいただいた日本のヨガ・インストラクターの方から「冷やす練習とは?」「クーリング効果のあるヨガとは?」との質問がありましたので、直接シェリル先生にお尋ねしたところ、返答をいただきましたので、「乳がん患者さんのためのヨガ」にて掲載いたします。
Cheryl Fenner Brown
ERYT 500, C-IAYT,ノースキャロライナで50歳以上の人や、がん患者、怪我や病気の人々にヨガを教えている。IAYT認定の最初のグループのヨガセラピストであり、1,500時間以上の個人クライアント、6,900時間以上のクラスやワークショップを全米のスタジオや、がんセンターで教えている。全米でヨガティーチャー養成講座やヨガセラピーの講師もしている。リサーチャーとしては、副作用を減らすためのヨガの効用についてのがん生存研究のための癒しのヨガは、ヨガ・リサーチに関するIAYTのシンポジウムや2015年次統合腫瘍学コンフィレンスで発表され、ヨガジャーナルにも特集された。
原文: 原文:Q&A: Improving Range of Motion After Radiation Treatment for Breast Cancer
翻訳: Yumiko Muramatsu Hoban
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