立ち位の前屈(ウッタナーサナ/Uttanasana)から山のポーズ(タダーサナ/Tadasana)は、ヨガのクラスの中で何回となく繰り返されます。

背中を丸めるか伸ばすか?

よくある二通りのインストラクションが、

1.背中を丸めたまま、ゆっくりと起き上がる。
2.背筋をまっすぐに伸ばして起き上がる。

英語だと1.は”Roll up like a rug doll.” ラグドール(くたくたした布製の縫いぐるみ人形)のように背中を丸めながら起き上がるという表現をするインストラクターが多いです。

さて、どちらが腰に負担がかかると思いますか?

ぎっくり腰になったことのある人なら、すぐに正解が出ると思います。1です。「重い物を持ち上げる時には、腰を丸めて持ち上げましょう。」なんてインストラクションを聞いたことがありますか?ないですよね。

子供の頃の事故が原因で腰が非常に弱い私は腰をほんのちょっと丸めて床のごみを拾おうとしただけでギックリ腰になったことがあります。お風呂掃除しようと腰をかがめただけでギックリ腰になったこともあります。

床に置いたボーリングの玉(頭)を、背中を丸めたままゆっくりと持ち上げる様子を想像してみてください。腰の弱いギックリ腰経験者は、思わず身震いしてしまうと思います。

ただし、きちんと訓練を積んで腹筋の使い方がわかっている場合には、しっかりとお腹を背骨側に引き込んで腹筋を使いながら、ゆっくりと丸めた背中を一つひとつの背骨を意識しなが伸ばしていくのはありだと思います。でも、腰の弱い人というのは、そもそも腹筋も弱かったりするので、初心者や腰痛もちの人には、やっぱりおすすめしません。

立位前屈から山のポーズ

  • 両足をしっかりと床に踏み込み両脚の筋肉を引き締めます。
  • 腰に手を当てて、お腹を引きこみ腹筋を使って背筋を伸ばしたまま、腰に自然なSカーブができるまで上半身が床に平行になるまで、起き上がり、
  • 腰のニュートラルなカーブを保ったまま息を吸いながら一気に起き上がりましょう。
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この時、膝を曲げておくと、さらに腰への負担は減ります。

立位前屈/ウッタナーサナで膝を曲げるか曲げないかの目安は、もし腰がお尻よりも高い位置に来るようであれば(下図のB)腰への負担が強くなりますので、膝を曲げた方がいいです。また、そもそも膝を伸ばしたまま起き上がる際には、どうしてもハムストリングが引っ張られ緊張します。ハムストリングを酷使すれば、やがてはハムストリングの起始の部分、坐骨部分に痛みが出てくるかもしれません。(ヨガを長年やっている人には、この怪我が結構多いです。)

ですので、むしろ膝を曲げて、背筋を伸ばし、おなかを引き込み、脚の筋肉をしっかりとアクティベートしてから、すっと起き上がった方が、体全体には良い効果をもたらすでしょう。

*ただし、腰を丸めるという動作は、たとえば靴紐を結ぶ時などの日常の生活の中で必要な動作なので、重い物を持ち上げる必要のないヨガにおいては、腰に全く問題がなく腹筋を利かせられる人に限り、丸めて起き上がる方法もありです。

もっと細かい説明をすると、腰椎と骨盤は連動しています(これを腰椎骨盤リズムと呼びます。)ので、前屈して腰椎が丸まれば自然と骨盤も前傾するので(上図のA)、私たちは自然におじぎができます。問題は、この連動がちゃんと起きずに(原因は、たとえば座り過ぎ、運動不足)、腰が曲がっているのに、ちゃんと骨盤も一緒に連動しておじぎをしてくれない場合、腰椎に無理な負荷がかかってしまいます。(腰椎骨盤リズムを正常化するには、キャット&カウのポーズがおすすめです。)

この連動の悪さは、既に書いたように立位の前屈をした場合に、腰がお尻より高くなっていることでわかります。そのような場合は、膝を曲げることで、腰への負担を減らし、上記で紹介したような方法で起き上がった方が安全です。

関連記事:腰を痛めずに前屈を深める

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Yumi Hoban Muramatsu
日本ヨガメディカル協会 International Liaison& Media Director
担当講座:ヨガセラピーに生かす解剖学② ~怪我をさせないポーズの軽減法&筋膜を学ぼう~(オンライン講座年4回開催:開催日程は協会ホームページにてご確認ください。)

全米ヨガアライアンスE-RYT500取得後、アメリカに本部を置くヨガセラピストの国際認定団体であるIAYT(Internationa Association of Yogatherapists)の認定ヨガセラピストC-IAYT取得。米国のカイロプラクティスや鍼灸のオフィス、ヨガスタジオでヨガセラピーを教える。

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