開催レポート@松本市

徳野久美:ヨガメディカル協会認定ヨガセラピスト

平成2年9月25日~9月30日の6日間、東京大学と松本ヘルス・ラボ(市民の健康増進とヘルスケア産業の創出支援に取り組む一般財団法人https://m-health-lab.jp/)が、共同で、音声病態分析工学に基づいた認知症早期発見に向けたアプリ開発モニタリングを実施、そのサポートとして、メディカルヨガを参加者とご一緒する機会をいただきました。

事前にモニター説明会が実施され、同意書をいただいた松本市の65歳から89歳の男女200名を対象に、認知症検査及び音声データ、歩行データ取得のモニターにご参加ご協力いただきました。

その待ち合い時間、あるいは終了後にリラックスしてメディカルヨガをご一緒しませんか?という趣旨のイベントとして開催しました。併せて、別室でシナプソロジーのビデオ上映も行われていました。

6日間でのモニター実施総数は予定通りの200名でした。

資料ベースではありますが、177名、実に9割近くの方に、メディカルヨガをご一緒いただくことができました。多くても7割くらいではないか、6割くらいの方とは是非ご一緒したいな、と考えておりましたが、予想を上回る結果となりました。

認知症検査というプライバシーに関わる内容が含まれており、モニタリングの匿名性を重視するため、参加者個別の情報などは明らかにできませんが、皆さま、前向きに参加いただき大変喜んでいただけた、とヘルス・ラボの方からもご好評いただきました。わざわざ、お電話や翌日ヘルス・ラボにお礼に来てくださった方もいらしたと聞いております。

喜ばれた協会の4種のヨガ・カード

資料は、4種のヨガカードを使用させていただくように、(ヨガメディカル協会の)石井先生にもご相談させていただき、ご高齢者向けに通常より大きめのA4版で印刷をお願いいたしました。

A4のクリアファイルに、表面ウォーミングアップ、裏面安心椅子ヨガ、間に他の2種を挟み込み、会場でお渡しすることとしました。

協会よりご提供いただきましたパンフレットは、最初のモニター受付でお渡しいただき、事前に目を通していただけるようご案内いただきました。

モニター会場会議室の一角に、パイプ椅子7脚をご用意し、ヨガカードを予めセットしておきました。椅子は必要時増減できるようにしていました。

少人数入れ替えでソーシャルディスタンス

モニター自体が、ソーシャルディスタンスを保つため、最大15分ごとに2名の予約制となっており、終わられた方から順にご案内いただき参加不参加や出入りはご自由で、水分を取りながらお好きなだけご一緒にどうぞ、といたしました。

協会のガイドラインに従い、手指消毒やマスク・フェイスシールド装着、及び、換気等に配慮し、ソーシャルディスタンスを保つため椅子の間隔も確保しました。椅子の消毒や資料のセットなどは、ご案内の方にサポートいただきました。

メディカルヨガのご紹介、呼吸法をお伝えし、ウォーミングアップ、安心椅子ヨガの中から、上半身下半身の動きをご説明しながらご一緒いただく、概ね20分前後で、1周するプログラムを参加者の皆さまの状況に合わせて繰り返し行いました。

もともと健康意識の高い比較的お元気な方々、自力でご来場いただけて、検査モニターに適したコミュニケーション及び運動能力を備えた方が参加されていますが、特に安全面に配慮し、お怪我のないよう、運動負荷を加減しながら、お身体を痛めることのないようにお声掛けいたしました。皆さまお元気で、リラックスというよりどちらかというと、張り切って入ってこられる方も多くお見受けしました。

出入りがありますので、繰り返しのプログラムになりますが、中には何周もご一緒してくださる方もいらっしゃいましたので、普段の運動のご様子などをお伺いしながら動きのバリエーションをつけたりしました。ヨガカードをお持ち帰りください、とお伝えすると、皆さまとても喜ばれていました。会場内の写真を同送いたしますので、ご参照いただければと思います。

男性も多く参加

モニターには、男性の方も半数近く来られていましたが、当初は、男性のご参加は少ないのでは?と予想しておりました。しかし、会場でメディカルヨガの実際の様子をご覧になり、ご案内の方のお声掛けで、女性ばかりでなく多くの男性の方にもご一緒していただくことができました。結果、参加いただけた人数の増加につながりました。

メディカルヨガの良さを再認識

中でも印象的だった事例を2例ご報告いたします。

3日目朝一番にいらした女性は、とてもスポーティな方で「ヨガやったことありますよね?」とお伺いしましたら、「ええ、もう30年になりますよ。今日はヨガマット要らなかったかしら?」とニコニコと答えてくださいました。大先輩を目の前に、タジタジになりながらも、楽しく2周ほどご一緒し、メディカルヨガの良さを再認識し、いくつになっても続けていけるんだなあ、と実感いたしました。

パーキンソンの方、帰りは大きな歩幅で

4日目の夕方、ご夫婦で参加いただいたうちの男性の方、パーキンソニズムでやや歩行がおぼつかない様子があり歩幅も小さく、躓きそうになりながら、奥様に遅れてお隣の椅子に腰かけられました。ゆっくりとした動作で、メディカルヨガをご一緒させていただいたところ、ご退室の際には、ご自身でゆっくりすっくと立ち上がり、奥様の後を来られた時よりかなり大きな歩幅で、今度は遅れず普通に歩いて帰られました。このご様子には、ご案内の方も周囲の研究者も、とても驚かれていました。

反省点と課題

反省点としましては、当初から想定しておりましたが、五月雨式に出入りのある状況ですので、繰り返しのプログラムを一人で続ける、ということと、やはりご高齢の方対象で、中には少々お耳の聴こえづらい方もいらっしゃると声が大きくなってしまい、6日間の後半では、私の喉のケアが必須となりました。マスクとフェイスシールドも、わかりやすい声を出すには、ハードルとなりました。参加者が少なければ、休み休みゆっくりやっていけば良いかな、と思っていました。一定の休憩時間も考えましたが、たくさんの皆さまにご一緒いただく中、休憩中の退屈や早々に退室されてしまうとせっかくの機会を逃してしまいますのと、会場に人が増え密になってしまうことも危惧されましたので、基本的に休憩時間を設けず、続けていくことにしました。

また、リラックスしていただきたいのですが、当日初対面であり、皆さま真面目にしっかりと聞こうとしてくださるだけに肩に力が入ってしまうこともあり、脱力やため息のお声掛けを合間合間にしばしばいたしました。

声が大きくなってしまうと、リラックスからはやや離れてしまう印象で、ご高齢の方を対象にする上での課題の一つと感じました。

このコロナ禍で、モニター自体も一時中止の検討もあり、数か月遅れての開催となりました。東京から松本に移動する前に私も含めスタッフ全員PCR検査を受け、体調管理を2週間デイリーで主催者に報告し、会場内外の消毒等には万全を期しました。地方の方々は、やはり、東京からの来訪や、ご高齢ということもありコロナをとても警戒していらっしゃることもひしひしと感じました。お一人だけ乞われて握手をさせていただきましたが、基本は、ソーシャルディスタンスを保ってのコミュニケーション必須のため、コロナ禍でなければもう少しお近くでお話もできたのに、と少々寂しい気もいたしました。

いくつになっても病気になっても呼吸を大切にヨガは続けていける

そのような状況下ではありましたが、窓を開けると雄大な山々を臨みながら、綺麗な空気をたくさん吸って、多くの皆さまと対面でご一緒できたこと、メディカルヨガの考え方、いくつになっても病気になっても呼吸を大切にヨガは続けていける、ということをお伝えすることができて、安全に開催終了できましたこと、協会はじめご協力いただいた皆さまには、本当に感謝をしております。大変貴重な時間を過ごすことができました。

今回たくさんの皆さまとご一緒したことで、松本市はメディカルヨガのちょっとしたホットスポットになっているんじゃないかな、などと思っております。

何より、皆さまとご一緒させていただき、私自身が皆さまからお元気をいただきすっかり癒されましたので、また、このような機会をいただけましたら、更にメディカルヨガを多くの方に知っていただき、ご一緒できたらと考えております。

開催実施に向けまして、協会の皆さまには、きめ細やかなサポートをしていただき、ありがとうございました。今後とも、ご支援ご指導のほど、よろしくお願いいたします。