造園士からヨガセラピストに
アメリカ・ペンシルバニア州にヒマラヤン・インスティテュートという美しい森に囲まれたヨガの聖地のようなリトリート・センターがあります。8月にヨガセラピーの研修のために訪れたのですが、そこに、ヨガセラピスト、そして造園士として住み込みながら瞑想の修行をして3年になるというヨガセラピストのデービッド・パーキンズ氏(56歳)にお話をうかがいました。
人生の一度目の転機
イギリスから、この地に来て、ヨガセラピストになるまでの人生の道のりについて教えてくださいますか?
私は、大学を卒業してからロンドンの金融街で働いていました。給料は良かったのですが、幸福感を得ることができず26才の時に、仕事を辞めてカリブの森林地帯を旅しました。そこで、つくづく自分はもうスーツとネクタイの生活には戻れない、自分は自然が好きなのだと自覚しました。その後、アメリカにわたり、アメリカ・インディアンと共に生活したりもしました。そこでの生活は自分の心に抱えていた怖れに気づかせてくれました。
私は父を6歳の時に亡くし、残された母と兄と、とても貧しい生活を送ったため、貧しさに対する恐怖心が強く、経済的な安定を求める気持ちが強かったのです。
それでも、心はスピリチュアルな世界に常に惹かれており、サンフランシスコの禅寺を訪ねました。そこで、初めて瞑想をしたのですが、体が痛くて10分と座っていることができませんでした。その禅寺で同宿していたのが、たまたまヨガの先生で、彼とともにヨガの練習を重ねる内に、段々と長く座っていることができるようになりました。
その後、長い間、アンティーク家具の補修の仕事をしたり造園士として働いていました。
二度目の人生の転機
弟が46才で突然の心臓発作で他界してしまったことが次の人生の転機になりました。弟は電気技師として、それまで元気に働いていたのに、何の兆候もなしに突然亡くなったのです。父もまったく同じで48歳で心臓発作で亡くなっていたので、人はストレスによって人生をまっとうせずに亡くなってしまうという事実に大きなショックを受けました。
弟の死を無駄にしないためにも、ストレスを軽減して、心臓の健康のためのヨガを広め、弟のように早死にしてしまう人を減らそう、それこそが自分のミッションだと思うようになりました。
人はストレスによって発作を起こすのではなく、ストレスを減らす方法が欠けているために発作が起きるのだと私は思うのです。
ヨガセラピーの中で大切にしていることは何ですか?
呼吸です。「深く、なめらかで、静か、規則正しく、止まることなく続く呼吸」この5つのことを大切にしています。
呼吸、ヨガ、瞑想によって深いリラクゼーションを体感し、自身の内側に目を向け、気づきを得て、心を耕して行くのです。ヨガセラピーには、人生を変える真の力があると私は思います。
文責:ホーバン由美子