私の大好きな番組、NHK BSの「ヒューマニエンス」。ヨガセラピストにとっての学びの宝庫だと思います。まだ御覧になったことのない方はNHKオンディマンドで見られますので是非ご視聴ください。

毎回、知識欲が100%満たされる内容ですが、先日の「”呼吸” 不完全が生んだ神秘」が、また素晴らしかった!ので、御覧になっていない方のためにシェアしたいポイントを自分のための備忘録もかねて書いておきます。

人間らしさ“3つの呼吸”

呼吸は脳と深い関係を持つ理由:脳の中に呼吸を司る場所が3か所ある。

テレビ画面のスクリーンショット

①脳幹(生命活動を支える最も原始的な呼吸、代謝性呼吸)
②大脳皮質(意識的な呼吸、随意呼吸)
③偏桃体(感情を司る、ゲストの昭和大学名誉教授の本間生夫先生は、これを情動呼吸 Emotional Breathingと名付けた)。

情動呼吸は、感情に左右されるので非常に乱れやすい呼吸である。番組では、実証として、被験者が座ってリラックスしている時の呼吸と、感情をゆさぶった時の呼吸を測定し比較した。まず前者では呼吸は、ゆっくりと深い呼吸が測定された。次に、被験者が腕につけた電極に1~2分以内に電気を流すと伝える。実際には、電流を流さないのだが、被験者の呼吸は、その間、浅く早くなった。

人間の最大の呼吸の特徴は、意識的に呼吸のコントロールができること

③の情動呼吸をコントロールする偏桃体は感情と深く結びついている。そのために、不安に襲われる度に人の呼吸は浅くなる。そのような乱れやすい情動呼吸をコントロールするのが、②の随意呼吸である。人の脳は、不安に立ち向かうために呼吸を使って感情をコントロールし理性的な状態を保っている。

本間先生は、「自律神経系に影響を及ぼすのは呼吸位しかなく、呼吸が自律神経を介して心拍もコントロールする。」と述べている。また「日本の文化は呼吸と深く結びついている。」とも述べている。たとえば、能の呼吸はゆっくりと深い。能を愛した織田信長は、心身をコントロールするために能を歌い舞ったのではないか。・・・あとは是非、番組を見てください。多分、オンディマンド買わなくても、その内、再放送があるでしょう。

やっぱりヨガでしょ!

呼吸と情動を結びつけることが日本文化に際立っているかどうかは、私自身は疑問を抱くのですが(歌ったり踊ったりする文化はどの文化にもあるので、)、そこは置いておいて上記の信長と能の部分の説明が、正に、ポリヴェーガル理論ともつながってくると思いました。ポリヴェーガル理論を説いたポージェス博士は、副交感神経である迷走神経をONにするためには、迷走神経が支配する声帯を使うことが有効で、つまり歌やマントラを唱えるといいと言っています。また、安心安全な環境で動くこと(ダンスやヨガや遊びなど)が、活動や緊張している時にONになる交感神経の原始的な反応である闘争か逃走の反応を抑制するとも言っています。やっぱり私が色々なヨガを探求して最後に行きついた呼吸が導くヨガは、間違いなく自律神経をととのえ、心を落ち着けるマインド&ボディーのヨガなんだ!と確信できました。


Yumi Hoban Muramatsu
日本ヨガメディカル協会 International Liaison& Media Director
担当講座:ヨガセラピーに生かす解剖学② ~怪我をさせないポーズの軽減法&筋膜を学ぼう~(オンライン講座年4回開催:開催日程は協会ホームページにてご確認ください。)

全米ヨガアライアンスE-RYT500取得後、アメリカに本部を置くヨガセラピストの国際認定団体であるIAYT(Internationa Association of Yogatherapists)の認定ヨガセラピストC-IAYT取得。米国のカイロプラクティスや鍼灸のオフィス、ヨガスタジオでヨガセラピーを教える。

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