ポリヴェーガル理論は、神経科学者のスティーヴン・ポージェス博士によって提唱され、メンタルヘルスの分野で大いに注目を集めている自律神経に関する理論です。従来、自律神経は交感神経と副交感神経の役割は両天秤のように拮抗していると説明されてきましたが、ポリヴェーガル理論では、自律神経系には「腹側迷走神経」「交感神経系」「背側迷走神経」の三つの異なる経路があり、人が「安全と感じているか」「危険と感じているか」「命の危険と感じているか」によって、段階的(階層的)にそれぞれの経路が活性化すると論じています。
安全を感じている時には「腹側迷走神経」が活性化し、心身はリラックスし、ストレスは軽減され、心地よいと感じられる社会的つながりも促進されます。そして、危険と感じると「交感神経」が活性化し「闘うか逃げるか」の反応が起き、「命の危険」と感じると「背側迷走神経」が活性化し体は不動化を起こすと論じています。
▶ポリヴェーガル理論について、さらに詳しく知りたい方はこちら
マインドフルネスとヨガとポリヴェーガル理論
迷走神経の約80%が、体から脳へのメッセージを伝える役割をしています。(残りの20%が脳から体へのメッセージ。ゆっくりと動き、ゆったりと呼吸しながらヨガを行うと、体は「今、安心だ」と感じ、腹側迷走神経が活性化し、そのメッセージが脳に伝えられます。そして脳は体から安心安全のメッセージを受け取ると、今度は体に向けて「今は安心安全だよ。」というメッセージを送り返します。このようなポジティブ・スパイラルによって心と体は深いリラックス状態に導かれて行きます。ポージェス博士は呼吸を取り入れたヨガは自律神経エクササイズだと述べています。
そこに、さらにマインドフルネスの要素を取り入れたのが、マインドフルネスヨガセラピーです。マインドフルネスは、現在この瞬間に注意を向け、判断をせずに受け入れる心の状態を指します。マインドフルネスヨガセラピーは動きながら行う瞑想のようなものです。座って行う瞑想の場合、どうしても雑念が次から次へと湧いてきてしまい、なかなか「今ここ」に心を置くことが難しいですが、ヨガセラピストの誘導に身も心も預けて、シンプルな動きを繰り返し行うことによって、現在の瞬間に集中しやすくなり、結果的に脳の休息となりストレスや不安が軽減されます。
▶マインドフルネスヨガセラピーを体験したい方はこちら。
講座やセミナーではなくオンラインレッスンです。ヨガ初心者の方、体が硬くても運動経験がなくても安心して参加できる簡単で優しいヨガセラピークラスです。精神科医であり禅僧でもある川野泰周先生監修。