早いもので、2022年も幕を閉じようとしています。今年の漢字は「戦」でしたが、2023年は、戦(勇み・烈み : いさみ)には癒し(ケア)が必要であることが理解される年であってほしいと願っています。

私たちヨガメディカル協会が育成するヨガセラピストにとっての癒しは、提供する側から提供される側への一方向のものではないと考えています。立場をどちらかの側に固定するのではなく、双方が一緒に楽になっていく、そんな活動報告を今年も認定ヨガセラピストの認定面接でお聞きすることができました。

私が現在在籍する京都大学医学研究科大学院での学びを通じ、医療が時代の大きな変革期にあることを感じています。医療中心の医療から、患者中心の医療へ、最大多数の医療から、個別性を重視した医療へ、の流れは、しばらく逆戻りすることはなさそうです。

患者や高齢者、子供たちが、突然医療によって「あなたはどんな治療が、生き方がしたいの?」と突き付けられたとしても、戸惑うことでしょう。自分とゆっくり向き合う時間、というのがこれまで以上に求められてきます。

また、医療者の方がヨガに期待していることもわかってきました。それは、どんなに科学的証拠(エビデンス:研究における効果の高さ)が優れているかではなく、安全で、人々が簡単なゆえに始めやすい、続けやすい方法で、生活の質を高めてほしい、ということです。

「ヨガセラピー」があってほしいわけではなく、生活の質を高める目的を叶えられる「ヨガセラピー」や「エクササイズ」やその他の手法が安全な選択肢としてあってほしい、ということでした。生活の質は、体力に関することだけではありません。

心の緊張や苦痛のレベルも含みます。ヨガセラピーを学ばれている皆さまにおかれましては、おそらく身体を動かしながら心も整えていけるヨガセラピーの魅力を推していただけると思っています。

心と身体が共に整っていく実感は、常に皆様自身がヨガセラピーから受ける恩恵から始まってほしいと願っています。どうか皆さま、健やかな年末年始を過ごされ、素晴らしい2023年をお迎えください。

本年も当協会の活動へのご理解と応援を誠にありがとうございました。

一般社団法人 日本ヨガメディカル協会 代表理事
岡部 朋子