ヨガで痩せる?

ヨガクラスの参加者さんたちに、「ヨガで痩せますか?」と質問されたり、「痩せるヨガを教えてください。」と言われることが、わりと頻繁にあります。

そんな時、私はこう答えています。「ゆっくりと体の感覚に目を向けながらヨガをしていると自分の体の内側の感覚により気づきやすくなります。そうすると、食事をしていても満腹感に気づきやすくなり、自然と食べ過ぎということが減ってきて痩せる人もいます。」

このことは何年か前に受講したマインドフルネスストレス軽減法の創始者ジョン・カバットジンのクラスで学んだことですが(体験談についても書いています。)、最近、ハーバード医大の健康に関するホームページに、ヨガと減量に関することを詳細に書いた文章を見つけましたので翻訳しました。

原文はこちら:Harvard Health Publishing


一生懸命に努力をしているのに体重が減らない場合、それは肥満が多くの原因を持つ複雑な病気であるためです。体重問題の家族歴があると、自身も体重管理に同じ問題を抱える可能性が高まります。超加工食品(米国糖尿病学会における超加工食品の定義は糖分、塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。 硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料などの添加物を加えて作られる、常温でも保存することができる日持ちする食品)、砂糖、脂肪が多い食事と運動不足も体重増加に寄与します。ストレスとメンタルヘルスの問題、特定のメンタルヘルスの状態を治療する薬、不十分な睡眠、ホルモンの変化も全て体重増加に寄与する要素です。

太り過ぎに対抗する方法は多々ありますが、唯一の解決策というものはありません。しかし、体重を減らすか維持しようとしているなら、ヨガを試してみることをお勧めします。ヨガはストレスを管理し、気分を改善し、感情的な食事(感情的な困難に対処するために食べること)を抑制し、サポートするコミュニティを作ることができるという良い研究結果があります。これら全てが減量と維持に役立つ可能性があります。

ヨガはカロリーを燃焼するだけでなく、筋肉量を増やし、筋トーン(注釈:筋肉の張りや硬さ)を高めることもできます。ヨガは関節痛を軽減し、それにより、もっと運動をしたり、日常の活動を増やしたりすることができます。これらはヨガの多くの利点の一部にすぎません。

ヨガは、体重増加に影響するストレスを管理するのに役立ちます

ヨガはサンスクリット語のyujから派生しており、体、心、感情を一つにすることを意味します。ヨガは体重増加の多くの原因を改善するホリスティックなマインド&ボディー・プラクティス(心身一如の練習)です。

ストレスを身体的な痛みや睡眠不足として経験する人もいれば、心理的な不安や動揺といった感情を引き起こすこともあります。ストレスはコルチゾルというホルモンの増加につながります。コルチゾルは腹部の脂肪を増やし、筋肉量を減らし、脂肪と砂糖が豊富な食べ物への渇望を引き起こし、それにより肥満につながる可能性があります。

ヨガはストレスとコルチゾルのレベルを減少させ、気分を高揚させ、不安と鬱を緩和し、睡眠を改善し、高血圧や糖尿病などの慢性的な状態を改善し、体重増加を引き起こす可能性のある薬物の必要性を減少させます。

ヨガは過剰な体重に対処するための一時しのぎのバンドエイドのようなものではなく、根本的な原因に対処できる可能性があります。ヨガの利点は、「カロリー摂取・対・燃焼エネルギー」の方程式にはおさまりきりません。

ヨガは食行動に関連するマインドフルネスを向上させることができます

9時以降にアイスクリームを無性に食べたくなったり、ポテトチップスをやめられないほとんどの人は、これらの行動が減量のチャンスを損なうことを知っています。また、私達は皆、野菜、全粒穀物、低脂肪タンパク質などを食べることが健康と体重に良いことも知っています。このような知識は必要である一方、健康的な食事プランを順守する助けとしては不十分なようです。

ヨガの利点の一つは、体に対してよりマインドフルネスになり、身体感覚への気づきを改善することです。これがヨガは「動く瞑想」、と呼ばれるゆえんです。ヨガのマインドフルネスの利点を得るためには、フォーマルな座禅瞑想を行う必要がないことを研究が示しています。

感情的な食事(感情的な困難に対処するために食べること)、ストレス食(ストレスに対処するために食べること)、暴飲暴食といった習慣は、減量の努力を妨げ、罪悪感と恥の負のスパイラルを引き起こし、それによって減量をあきらめてしまったりしますが、ヨガは、マインドフルネス力を向上させることで、感情的な食事、ストレス食、暴飲暴食を減少させます。

2015年に発表された研究では、ヨガの実践が健康的な食事、つまり脂肪摂取の減少と野菜と全粒穀物の増加につながることが示されました。

結論:最高のダイエット計画は、長期にわたって継続できるよものであり、マインドフルネスを向上させることで、ヨガはより健康的な食の選択を助けることができるのです。

ヨガのコミュニティは受容とサポートを提供できます

太目の人々にとってはジムに行くことは気後れし、自分がそこに属さないという感情を引き起こす可能性があります。それとは対照的に、ヨガの文化は優しさ、サポート、自己受容を体現するものです。

ヨガの指導者や上級者は、新しい生徒に対してに健康的なライフスタイルを送ることを促すロールモデル(お手本)となります。研究によれば、社会的ネットワークが体重を変化させる行動に影響を与えることが示されています。ヨガに参加することでによる人とのつながりは健康的な行動を促し、そのようなコミュニティの一部であることが、減量に意義のある違いをもたらすことができます。このタイプのコミュニティは他の運動では見つけにくいかもしれません。

これからヨガを始めようとする人は安全で快適な環境を探しましょう。新しい参加者を温かく受け入れる、友好的な雰囲気のあるヨガのグループは自尊心と自信を向上させるのに役立つかもしれません。ご自身のレベルに合った人たちがいて、萎縮せずに参加できるスタジオを見つけてください。指導者はポーズを軽減することで初心者や身体的な制限がある人々を助けることができます。気に入った指導者やクラスを見つけるためには、何度か違うクラスを試す必要があるかもしれません。最初の一回であきらめないでください!

地元のスタジオが見つからなくても、YouTubeやInstagramで、あらゆるレベルのクラスがあるオンラインという選択肢が常にあります。サイズが大きいことがどんなことかを理解し、差別なく、どんな体型も肯定する姿勢を持つことで、ヨガが “痩せた人 “のためだけのものではないことがわかっている指導者もいます。中には、ヨガが自分の体重の苦しみやうつ病、暴飲暴食を克服するのに役立ったという感動的なエピソードを披露してくれる人もいます。初心者の方は、まずは短期間からチャレンジしてみてください。

ヨガの恩恵は誰でも得ることができます。 — 体型やサイズに関わらずです。ただし、ヨガの習慣を確立するには数週間から数ヶ月かかることがあり、長期的な利益を得るためには頻繁な練習が鍵となります。