英語名:Camel Pose
日本語名:ラクダのポーズ
サンスクリット名:Ustrasana
深い呼吸をキープするためのコツ
吸う息で体を内側から支える
息を背中を広げ膨らますような意識で吸います(フグのイメージ)。体側(ウェストからわきの下まで)も伸ばします。 息を吐く時も、この体の内側の広がりはキープするようにします。
後屈では呼吸が浅くなりやすいので、後屈前に肺を背中に向けて広げてあげて、それを保つことで、体をそらした際に深い呼吸を続けることができます。
腰を守るためのコツ
両手でお尻を引き下げる
骨盤の後ろの上部に両手を添えて(指は床方向)、息を吐きながら手の平で骨盤を床方向に引き下げるように、同時に(ここからは新たにフランクリンメソッドで知ったことです。かなりオタクな内容ですので、ヨガ初心者の方は飛ばしてください。)仙骨は「うなずき運動」を意識します。これによって、お尻がキュッと締まり過ぎて仙腸関節 も締めつけ過ぎることなく腰にスペースを感じたまま後屈ができます。
(この意識は骨盤と仙骨が反対方向に行くので、体がその感覚をつかむまでは非常に難しいと思います。尾骨をタックイン/尾骨を下げるとまったく反対のことをやります。試しに、両方やってみてください。後屈しながら尾骨をタックインするとお尻がキュッと締まるのを感じると思います。反対に仙骨のおじきを意識すると、お尻は柔らかいままで、腰のそりがなめらかになると思います。私は、長年尾骨をタックインすることをし過ぎていたために、後屈すると多分仙腸関節がスクイーズされたために起こる電流のような痛みがあることがあり、深い後屈は封印していたのですが、仙骨をおじきという全く反対のことをすることで、後屈を取り戻すことができました。)
伸びを出すコツ
もうひとつ忘れてならないのが、土台となる足からのパワー。後屈しながら、足の甲(つま先を立てている場合には、親指)でしっかりと床を押し続けます。腰までがグッと安定し、その反動で上半身にも伸びが生まれます。ヨガブロックを足首にはさんで、両足でブロックをスクイーズしながら後屈しても足からのパワーを感じやすいです。
胸椎からの後屈のコツ
胸椎を持ち上げる
後屈していく際にパートナーに胸椎の部分を軽く指で押してもらいます。胸でその指を押し戻します(天井に向かって胸を突き上げます)。これによって、腰からのみのアーチではなく、胸の後ろの背中部分にアーチが生まれます。
ひとりでやる場合は、自分の両手を胸椎の上に重ねて、その手を胸椎で押し返しながら後屈していきます。
背中からのアプローチ
パートナーは後ろに立ちます。後屈している人がほぼ、キャメルの最終形になったらパートナーは両手でグーを作って親指側を上にして縦に重ね左右の肩甲骨の間、一番下(ブラジャーの線がくるあたり)に当てて天井側に持ち上げます。
一人でやる場合は、準備運動としてですが、椅子の背もたれの上部に、ブラの線を当てて、両手を首の後ろで組んで、胸を反らせてください。
脊椎の後屈(伸展)の可動域
頚椎 75度
胸椎 25度
腰椎 35度
合計135度です。胸椎の伸展も利用すれば腰の負担を避けながらポーズをさらに深めることができます。(詳しくは「後屈で腰を傷めないために」を参照してください。)
首を守りましょう
首は、最後の最後に倒しますが、首が弱い人は顎を軽く引いたままの状態の方がいいです。首は肩の上に乗っている状態で5~6キロ、角度が増えるごとに頚椎への負担は増え60度の傾斜では27キロにもなります。
腰が膝のラインと垂直にするというキュー
アメリカの人気ヨガ・インストラクターのジェーソン・クランデル氏は、「もし股関節屈筋(股関節や太もも周りの筋肉)が柔軟で、ラクダのポーズで腰に全然負担を感じていない人は、膝の真上に骨盤が来ても問題ないが、そうでない人にとっては腰が弓なりになり過ぎて、負担がかかって問題だ。」と言っています。
ミスアライメント?それとも体の個性?
人によってアライメントの違いがあるのは、体の柔軟性や足腰の筋肉の強さの差異だけではありません。たとえば膝から上の部分の脚が非常に長いけれども、腕が非常に短い人がいたとします。この人がラクダのポーズで、手が踵につく姿を想像してみください。この人に、「膝の真上に骨盤が来るようにしましょう!」と指示することが、どれだけ理に適ってないことか!
解決策はシンプルです。腰が膝の真上に来ることは気にしないことです。膝から上が後傾してお尻が後ろに下がっても別に構わないということです。形よりも、体に利益がある方を選ぶ(Function over Form)方が賢明です。
また詳しいことは「可動域と柔軟性とヨガ」で書きましたが、骨盤の寛骨球の位置には大きな個人差がああるので、人によっては後屈する際に、両膝が開いた方が、むしろ股関節に無理がかからずにラクダのポーズが取れる人もいます。体の個性を無視して、ひとつの型にはめようとすることは理にかなわないのです。
恥骨を前に突き出してしまうのを防ぐためには、常に鼠径部(太ももの前側の付け根)を後ろに引く(くぼませる/太ももの内旋)意識を持ち続けます。
らくだのポーズのバリエーション
- 二つのヨガ・ブロックを一番高い位置で両くるぶしの外側あたりに置きます。腰は膝の真上。
- 内腿同士を引き寄せます。
- 手を腰にあてます。指先は床に向けます。
- 息を吸いながら背筋を天井に向けて伸ばすとともに、手のひらはお尻を引き下げながら胸を反らして行きます。
- ブロックに手をつきます。
- ブロックを手で押しながら胸をさらに天井に向かって引き上げます。
らくだのポーズが苦なくできるという方も是非試してみてください。ブロックを手で押して、肩甲骨の一番下の部分を胸に向かって押し上げ胸骨を空に向かって持ち上げることにより、胸椎のカーブをより感じることができます。
らくだのポーズのアジャスト
さらに練習パートナーに、胸骨を真上から指の平部分で押してもらい、それを跳ね返すように胸を持ち上げてみてください。驚くほど胸のカーブを感じることができます。
両手でげんこつをつくり、重ねて、親指側で肩甲骨の一番下側の真ん中部分を下から天井に向けて軽くサポートするように持ち上げます。
新たに開眼のイメージトレーニング
ラクダのポーズの2020年度版です(^^
Movement Therapyで有名なバニー・コーヘンさんから最近学んだラクダのポーズのヒントです。ラクダのポーズのインストラクションでは、よく”Open your heart!” 胸を開いてということなのですが、これは天井に向かって胸を突き上げる動きにつながり、心臓を背中から圧迫して肋骨に押し付け心臓にはよくないとバニーは言っています。その代わりに、「左右の肩甲骨を蝶々の羽のように寄せて、その上に心臓をそっと乗せて捧げるイメージでやってみましょう。」ということで、そのイメージでやってみたところ、ラクダのポーズが、とっても優しい気持ちで行えただけでなく、胸がググーッとではなく、フワーッとリフトするのを感じました。お試しあれ。
準備ポーズはしっかりと
ラクダのポーズをする前に、「後屈で腰を傷めないために」を参照して、体の前面、側面、背面、肩周りなどたっぷり伸ばしましょう。
村松ホーバン由美子:日本ヨガメディカル協会公認講師&WEB編集責任者
E-RYT500、C-IAYT(国際ヨガセラピスト協会認定セラピスト)、介護予防指導士、米国シニアヨガ指導士、ムーブメントセラピー指導者、ORIGINAL STRENGHTH認定プロフェッショナル、日英通訳翻訳。埼玉県在住。
【担当講座】「解剖学② ヨガセラピー✖筋膜」「ヨガ✖ポリヴェーガル理論✖自律神経」「様々なポーズの軽減法」