私たちの心の中では、無意識に「ネガティブ・バイアス」が働いていると言われています。
ネガティブバイアスとは?
人間はポジティブなものに対するよりも、ネガティブな出来事や情報に対して、より強く、持続的に反応する傾向があると言います。これを心理学ではネガティブ・バイアスといいます。バイアスとは「偏った思考」という意味です。
たとえば、1日の中でたくさんの良いことがあっても、1つだけの小さなネガティブな出来事(友人との些細な不和、仕事での小さなミスなど)に焦点を当てて繰り返し考えてしまうことが、このバイアスの一例です。また、好意的なフィードバックを10回受け取り、批判的なフィードバックを1回受け取った場合、その1回の批判が頭から離れないのもネガティブバイアスの働きです。
このバイアスは、進化の過程で生き残るためのメカニズムとして発達したと言われています。たとえば、先史時代、私達祖先がまた狩猟や木の実の採取などをしながら厳しい環境の中で暮していた頃は、危険なに対して直ちに認識して対処すること、そしてその危険なことにあったことを覚えておくことが、自分だけでなく家族や仲間の生存に直結していたため、ネガティブな情報を優先的に処理することが有利だったのです。しかし、現代の生活においては、このバイアスが過度な心配や不安、ストレスを引き起こす原因となることもあります。
ヨガでネガティブ思考を手放す
ゆったりと呼吸をしながら、体だけでなく、身体の内側感覚にも意識を向けてヨガを行うことによって、筋肉が鍛えられるのと同じで、体や内面に気づく脳の筋肉が鍛えられます。それによって、ネガティブな思考や感情に気付きやすくなり、対処する力もを育ち、心の中の静けさや調和を取り戻す手助けをしてくれます。
またアーサナ(ヨガのポーズ)や呼吸法は、心身の緊張やストレスを解放し、ネガティブバイアスからくる不安や恐れを和らげてくれます。ヨガは、ネガティブバイアスという人間の自然な傾向によって生まれる心の苦しみに気づき、そこから解放してくれる素晴らしいツールとなり得ます。
村松ホーバン由美子:日本ヨガメディカル協会公認講師&WEB編集責任者
E-RYT500、C-IAYT(国際ヨガセラピスト協会認定セラピスト)、介護予防指導士、米国シニアヨガ指導士、ムーブメントセラピー指導者、ORIGINAL STRENGHTH認定プロフェッショナル、日英通訳翻訳。埼玉県在住。
【担当講座】「解剖学② ヨガセラピー✖筋膜」「ヨガ✖ポリヴェーガル理論✖自律神経」「様々なポーズの軽減法」