故B.K.S.アイアンガー氏は
「若い人も、老いた人も、非常に年老いた人も、病気の人や、よぼよぼの人さえも、ヨガにおいては、たゆまず修行すれば完璧の域に達する。」
”The young, the old, the extremely aged, even the sick and the infirm obtain perfection in Yoga.”
と言っています。(ヨガの精神的な側面についても述べているのだと思います。)
かの葛飾北斎も「天が私にあと十年の時を、いや五年の命を与えてくれるのなら、本当の絵描きになってみせるものを。」と言った上にさらに「思えば七十歳以前に描いたものはみな、取るに足らないものだった。」とまで言っています。
このように年齢を超越して限りない好奇心と探究心を持ち続けられたら素晴らしいと思います。
年齢に縛られない生き方
世界中でセミナーを開催している、ある著名なアメリカ人のヨガ・インストラクターが、日本で教えた時のエピソードをブログに書いていたのですが、参加者が、ほとんど若い女性であったことへの驚きが述べられていました。
アメリカでヨガのイベントやセミナーに参加すると20代から、60代と年齢が非常にバラエティーに富んでいます。
私が住むニュージャージー州の郊外のヨガ・スタジオでも、40代~60代のヨギー達がたくさん参加しています。同世代ばかりの人で溢れているクラスの方が少ないと感じます。
日本ではヨガに限らず、ある程度の年齢に達すると、「もう30代だから、もう40代だから、もう50代だから、もうおばさんだから・・・・」などと自己制御が、かかっててしまうことも多いのではないでしょうか。メディアなどでも、平気でおばさんを馬鹿にするような発言が、まかり通っています。あまりに、そのような言動が垂れ流されているので、人々も女性に対する明らかな年齢的差別発言に対して麻痺してしまっているように見受けられます。それどころか自虐的に自分の年齢を卑下する人も結構見受けられます。アメリカでは履歴書に年齢を書くことは求められませんし、面接で年齢を聞くことも年齢差別になります。日本では、そもそも、年齢差別という概念が存在しないのかもしれません。
日本は素晴らしい所もたくさんありますが、文化的に、社会的に、また人間関係において、非常に閉塞的な部分も多いと、日本の外から見ると感じます。
男性側から見た女性の年齢的な格付けは、今始まった話ではないし、これからも日本の中で存在し続けると思いますが、そのような社会概念に心を侵食されることなく、皺は増え、皮膚はたるみ、外見の若さは失われていくとしても、自分の内なる可能性は信じ続けて美しく生き続けられればいいと思います。
2020年102才になるヨガ・インストラクター
最高齢のヨガインストラクターのタオさん。 ヨガ・インストラクターになったのは73歳で 91歳の頃から最高齢インストラクターとしてマスコミの注目を浴び始め、今も記録更新中!久々にタオさんのことを検索してみたら、ホームページまでできていました。https://taoporchonlynch.com/ (残念ながら2月21日の朝に静かに息をお引取りになったそうです。)
彼女の語録
Do what you love.
「身体的にも精神的にもできないと思っていたことをができるた時に自然とこぼれる笑顔を見ることが大好きです。」
Don’t be afraid to age. 年をとることを恐れてはいけません。
「わたしは100歳になったからと言って何も変わったとは感じません。ヨガの練習は人生のダンス、呼吸は全てのことを可能にする永遠の呼吸ー私は、決してヨガの練習をやめることはありません。」
「人生はシャンパンを飲むようなもの」「学ぶことがたくさんあり過ぎて人生の時間が足りない」「今やるべきことを明日に引き延ばさないこと。」
「今日が人生最高の日。不可能なんて何もないって毎朝思います」。
「年をとることがイコール智慧ではありません。その人が、この世界と心の旅をどのように経験したかによります。もし常に好奇心を持ち続けていれば、智慧はやってくるものです。「年齢」などというものはないと知りましょう。永遠の力に波長を合わせて生命の美しさを感じましょう。呼吸をして活性化しましょう。」
自分に合ったヨガを見つける
ただし、ヨガが体にいいからと言って、40代、50代、60代、それ以上の人が、いきなりエクササイズ系のヨガやホットヨガに参加するのは無謀というものです。
また長くヨガをやっていたとしても、年齢とともに変化するニーズに合うように自分の練習を、たえず調整していくことが大切だと思います。ヨガは心を癒し体を強化する効果があるけれども、やり方によっては害にもなります。
“It’s not how far you go, it’s how you go far.”
「(大切なのは)どれだけポーズを深めるかではなく、どのように深めて行くかです。」
最後に声を大にしていいたいのが「体が柔軟であることがヨガの条件でも目標でもない」ということです。
村松ホーバン由美子:日本ヨガメディカル協会公認講師&WEB編集責任者
E-RYT500、C-IAYT(国際ヨガセラピスト協会認定セラピスト)、介護予防指導士、米国シニアヨガ指導士、ムーブメントセラピー指導者、ORIGINAL STRENGHTH認定プロフェッショナル、日英通訳翻訳。埼玉県在住。
【担当講座】「解剖学② ヨガセラピー✖筋膜」「ヨガ✖ポリヴェーガル理論✖自律神経」「様々なポーズの軽減法」