「乳がん治療後の可動域を改善するためのヨガ」の記事の中のシェリル先生の記事を読んだ方から頂いた「冷やす練習とは具体的には、どんな練習でしょうか?」という質問をに対する先生の回答です。是非、上記の記事とあわせてお読みください。
熱を冷ますヨガ
がん患者さんを対象としたヨガクラスでは、化学療法や放射能治療の最中の方や治療後6ヶ月以内の場合は「ランガーナ:熱を冷ます」練習がベストです。その理由は、ほとんどの治療は体に熱を加えるので、患者さんの体が治療をプロセスするためには既に体の中にある熱に、さらなる熱を加えない方がいいからです。
熱を冷ます練習には、さまざまなものがありますが、たとえば、陰ヨガ、ソマティック系のヨガ、リストラティブ系のヨガ、そして椅子よが、Viniヨガなどがあります。ヴィニャーサ-、アシュタンガ、ホットヨガなどは、治療中や治療後6ヶ月は避けるべきです。
具体的なポーズだと、座って、または寝て行う軽いウォームアップ、前屈、立居のポーズなら「木のポーズ」や「戦士のポーズ2」をゆっくりと、ポーズに入ったり出たりしながらを繰り返すVINIヨガスタイルで行うと熱を冷まします。
ヒーリング・タイムとしてのヨガ
私は生徒さん達には、ヨガの時間をエクササイズとしてではなくヒーリングの時間として使って欲しいとお伝えしています。幸いなことに、避けるべき練習よりも、やっても大丈夫な練習の方がずっとたくさんあります。
たとえば、後屈であれば、「上向きの弓のポーズ」よりも、「橋のポーズ」のようなリストラティブな後屈の方がはるかに熱を冷まします。立居の場合は、「ダンサーのポーズ」や「戦士1」よりも「木のポーズ」の方が熱を冷まします。前屈は、ほとんどの場合が、注意しながら行えば熱を冷ましますが、「下向きの犬のポーズ」よりも「頭を膝につけるポーズ」の方が熱を冷まします。ひねるポーズでは、仰向けになってリストラティブとして体をひねる「ワニのポーズ」の方が座ってひねる「賢者のポーズ」よりも熱を冷まします。
熱冷ましの練習の一例:
仰向けのヴィニャーサ・フロー(片足)
- 仰向けになって両脚を伸ばし、息を吸いながら、腕は頭上に伸ばす。
- 息を吐きながら右膝を胸に引き寄せ、右手で抱える。
- 息を吸い、右手で右膝を右側に開く。左手は床の上でサボテンのポーズの位置。
- 息を吐き左手で右ひざを左側に開く。右手は床の上でサボテンのポーズの位置。
- 息を吸い膝を真ん中に戻し、右足を天井に向けてまっすぐ伸ばす。両手の指を組んで太ももを抱える。
- 息を吸いながら、右膝を胸に引き寄せる。 息を吐きながら、脚を床に伸ばし、両腕は頭上に伸ばす。
- 息を吐きながら、脚を入れ替えて1~7を繰り返す
セラピュティック効果:下半身の主な関節を開き、脚、ヒップ、腰、肩を伸ばす。
片鼻・月の呼吸 Chandra Bhedana チャンドラ・ベダーナ
左の鼻孔から吸ったり吐いたりするイメージを持ちます。
効果:熱を冷ます、リラックス、落ち着く、沈静、副交感神経をONにする。沈静、クールダウンのエネルギーを左側の鼻孔から吸ったり吐いたりすることにより、イダ・ナディと右脳と創造的思考を活性化します。
おすすめポイント:ストレスを軽減したり、鼻アレルギーの際におすすめ。
Cheryl Fenner Brown: ERYT 500, C-IAYT,ノースキャロライナで50歳以上の人や、がん患者、怪我や病気の人々にヨガを教えている。IAYT認定の最初のグループのヨガセラピストであり、1,500時間以上の個人クライアント、6,900時間以上のクラスやワークショップを全米のスタジオや、がんセンターで教えている。全米でヨガティーチャー養成講座やヨガセラピーの講師もしている。リサーチャーとしては、副作用を減らすためのヨガの効用についてのがん生存研究のための癒しのヨガは、ヨガ・リサーチに関するIAYTのシンポジウムや2015年次統合腫瘍学コンフィレンスで発表され、ヨガジャーナルにも特集された。
翻訳&聞き手: Yumiko Muramatsu Hoban