IAYT

秦絵理子: ヨガメディカル協会公認コーチ

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今回が4回目の参加となりました。これまで「がんとヨガコミュニティ」を重点的に学んできましたが、今回はテーマを変更し、「メンタルヘルスケアにおけるヨガセラピーの役割」をメインテーマとして学んできました。

メンタルヘルスは、特に精神科における治療に限ることなく、私たち誰もが関わるテーマです。病気治療中の方、更年期の方、そして誰もが必ず迎える死に向き合うその時にも、大いに関係してくるものです。様々なことが起こる人生において、メンタルヘルスをいかに保っていくかどうかは、QOLに大きくかかわってきます。

私は受講前に、何か特別なテクニックを期待していたかもしれません。メンタルヘルスケアならではの、呼吸法や瞑想法、ポーズの数々を想像していたように思います。

IATYカンファレンス

でもそこにあったのは、特別なものではありませんでした

  • 体と心と呼吸に意識を向けて気付くこと味わうこと
  • 今、ここに意識を向けるマインドフルネス
  • グラウンディングの意識

ヨガができることはヨガです。ヨガによって人間が自ら気が付くこと、感じることには大きな力があります。自らを力付けてくれることがあります。

ヨガセラピストが意識すべきことは、その主語はヨガセラピストではなくヨガをする患者さん、その人自らということです。

どう感じるのか、何に気づくのか全てはその人の内側にあります。ヨガセラピストは、そのきっかけをつくる立場です。共に歩み見守る立場です。

一方でヨガセラピストは医療者と患者さんとの懸け橋としての役割を担っています。ヨガを通じて得られた言葉や変化が医療者の、従来の治療の役に立つことがあるという報告がありました。体を動かすからこそ得られる解放感・ほぐれる感覚また、力強さなどから従来の治療からは得られなかったものが得られることがあるという報告です。

体を動かすというのは必ずしも難しいポーズや特定のポーズをとることではありません。とても簡単で、何度もやったことのあるポーズを呼吸の深さや拡がりを感じながら味わい体に揺らぎや動きを加えることで、より開放的な気持ちと呼吸を巡らせグラウンディングの意識を高めながらより、今を味わい、起こることに気が付いている、そういう状態です。そう、特別なヨガではありません。

今回のカンファレンスで印象に残った言葉でもある「全人的ヘルスケア」「全体性」

患部、痛みなどにだけ向かい合うのではなく、人間全体を捉えていく。心と体そして呼吸、心理面、社会的・経済的状況なども含めて幅広くその人を見て、その人にあったセラピーを行っていく。

様々な医療者や他のプロフェッショナルと共に、患者さんを全人的にケアするヨガセラピストがそのチームの一員である。

協会公認コーチ、左から秦恵理子、杉島小百合、横山みつこ
カリフォルニアのヨガセラピー・シンポジウムにて

ロサンゼルスのサンタモニカのクリニックでは、その様子を見学させていただくことができました。ヨガができることを丁寧に私たちができることは、その積み重ねだと改めて認識する、そんな機会になりました。

全米、各国から集ったヨガセラピストたちの熱意と、実践に触れることができ、繋がりを作り、励まし合える仲間が増えることで、またこれから一年進んでいこうと新たに思える素晴らしいカンファレンスでした。

共に学んだ日本の仲間からも、刺激をたくさんもらい、感謝しています。